白馬村と連携して欧米豪向けにプロモーション強化
加賀百万石の城下町として知られる金沢市のDMO、金沢市観光協会が海外観光客の誘致に力を入れている。現在、市内の年間宿泊数約278万人のうち、海外からの宿泊人数は約52万人だ。
海外からの観光客を集めるのは、『金沢芸妓(げいぎ)』を体験するツアーだ。毎週土曜日、芸妓遊びを体験できるイベントを地元のお茶屋で主催する。対象は日本文化に興味を持つ欧米豪の観光客で、ポスターやチラシを和英表記で作製し、通訳も参加する。「金沢芸妓は、稽古を積んだ伝統の芸を守り伝える地元文化だ。多くの観光客に楽しんでもらいたいが、『一見さんお断り』の店が多く、外国人観光客には敷居が高い」とイベントを始めた理由について八田誠専務理事は話す。
グルメも人気の1つだ。市内にある、金沢中央味食街は昭和の雰囲気あふれる屋台街で、連日海外からの観光客でにぎわう。金沢市は海も山も近く、新鮮な食材が豊富にそろうため、人気店も多いという。
海外からの観光客を増やすために、昨年から、地元業者を集めた情報交換会「金沢版DMOマーケティング」を協会の事業として毎月開催する。現在は、金沢のオフシーズンである冬季の誘客促進に向けて、長野県の白馬村との連携を進める。白馬村はウィンタースポーツが盛んで、毎年スキー客が殺到する。金沢市と白馬村が連携してプロモーションを仕掛け、相互に誘客する流れをつくろうというものだ。池田健事務局次長は「白馬を訪れる客には、豪州等の経営者層など、富裕層も多い。この取り組みはマーケティング会議がきっかけとなって実現したもの」と語る。
今伝えたいこと
八田 誠専務理事
北陸新幹線開業4年目となる昨年は、過去最高の入込客数を記録した。インバウンドも欧米豪を中心に引き続き高い伸び率を示している。こうした状況を受け、2020年6月には金沢駅の隣接地にインターナショナルブランドホテルが開業するなど民間によるホテル開発が進んでおり、20年までに約2000室が増える見込みだ。金沢の魅力は、歴史的な街並みとともに、市民生活に根付いた本物の日本文化体験ができることやおいしい食事にある。市民生活との調和を第一としながら、官民一体でしっかり稼げるよう地域資源を徹底的に磨きあげ、広域連携による周遊観光を企画造成していきたい。
設立年月:1949年
所在地:石川県金沢市木ノ新保町1-1
参加自治体・企業・団体:金沢市、宿泊・交通・飲食・工芸等観光関連団体および企業
年間延べ宿泊者数:国内 278万2747人/海外 52万2343人