震災の光と陰を伝える「ホープツーリズム」の拡大【全国DMO巡り Vol.46】(公財)福島県観光物産交流協会
- 2020/7/27
- 教育・玩具, 新型コロナウイルス関連記事, 東北
学校や企業の研修で採用され、2019年度は45本を実施
福島県は、磐梯山、猪苗代湖、只見川などの温泉と自然、滝桜、花見山の桜などの花の名所、会津藩の歴史や日本酒などの伝統文化といった観光資源が豊富だ。だが、2011年3月11日に発生した東日本大震災と、原発事故により大きな被害を受け、今も復興の途上にあり、避難指示が解除されない地域もある。
(公財)福島県観光物産交流協会が2017年に始めた「ホープツーリズム」事業は、震災と原発事故の教訓、福島県民の想いを後世に伝え、風評の払拭と産業復興によるまちづくりへの貢献を目指す。福島県と一体で行う活動だ。ツアーは、中高生の教育旅行や、企業の人材育成を目的とした研修旅行を対象とし、震災等の影響が大きかった福島県沿岸部(浜通り地域)を訪問したり、復興に向け挑戦する地域住民との対話を組み込む。復興が進んだ光の部分と、震災・原発事故の影響が残り続ける陰の部分をともに見聞きし、教訓を参加者自身に得てもらうことを目指す。2019年度は45本のツアーを実施し、948人の参加者を得た。(2020年は、新型コロナウイルスの影響で3月のツアー11本204人分は全て中止となった)
課題は、人材の確保だ。ツアーに同行し、案内役やワークショップのまとめを行ったり、復興に向けた取り組みを伝える人が足りない。これまでは貸切バスでの受け入れが中心だったが、数を増やすためには、一度に大人数で来県する団体客を受け入れられるように体制を整える必要がある。人材の確保のための事業を、今年度中に実施する予定だ。
今伝えたいこと
髙荒 昌展理事長
協会の事業は、福島県と一体で運営され、県の政策・方針と一致している。「ホープツーリズム」は、県の課題である地域の復興に資する事業で、協会事業においても大きな位置を占る。
県の交流人口の拡大や風評払拭等の復興をさらに進めるため、「ホープツーリズム」の認知度を上げ、学校・団体の来県を増やせるよう取り組む。
設立年月日:1988年6月1日
所在地:福島県福島市三河南町1番20号コラッセふくしま7階
参加自治体・企業:福島県
年間延べ宿泊数:1146万3840人(県全数。外国人含む)/海外 16万7290人(10人以上の施設)
※ともに観光庁宿泊旅行統計値、2019年を利用
代表者:髙荒 昌展理事長