イギリス国内で失業者が急増 大手薬局は4000人をリストラ @イギリス・ロンドン【7月15日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ
- 2020/7/20
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消費税5%に引き下げ 支援策が続々発表される
イギリス国内で失業者が急増している。国内大手薬局チェーンの「BOOTS(ブーツ)」が4000人規模のリストラを実施した他、老舗デパートの「ジョンルイス」も8店舗を閉鎖することを発表。約1300人が仕事を失うことになる見込みだ。
こうした事態の中、イギリスではさまざまな支援策が発表されている。その1つが、イギリス財務大臣が発表した、7月15日から1月12日にかけてVAT(付加価値税・日本の消費税にあたる)を一部免除する制度だ。食品の購入や宿泊施設・テーマパークなどの利用料が対象で、従来は20%の税率を5%に引き下げる。税率の引き下げで消費を促進させる狙いだ。さらに、8月1日からはアルコール以外の外食費を50%割り引くキャンペーンも発表された。1人あたりの上限額は10ポンド(約1300円)までで、月曜日から水曜日が対象だ。9日からは、家を購入する際の日本で印紙税にあたるものが、最初の50ポンド(約6500円)までに限って免除される。
企業に対する救済策も検討されている。その1つが、営業再開できない博物館、美術館、劇場などへの資金援助だ。最近になって政府は新たに15.7億ポンド(約2100億円)の援助を発表した。また、13日にはネイルやタトゥーショップ、スパなどを含む美容関係の店の営業も再開された。25日にはジムも再開される。顔に近い施術は営業が認められないため全ての美容店が再開できるわけではないが、徐々に経済活動も再開のめどが立ってきた。また、24日からは店舗に入店する際のマスク着用が義務化されるが、ロックダウンから4カ月過ぎたタイミングだったため、対応の遅れを感じる市民もいるようだ。
一方で、新型コロナウイルス対策の影響から増税も懸念されている。イギリスでは新型コロナの影響で収入が減少した人に対して給与を補填する『ファーロウ・スキーム』を実施しているが、そうした状況が国の財政難を深刻化させているようだ。
ロックダウンから4カ月がたち、ヨーロッパ各地で規制の緩和が続いている。夏季休暇が近づいているが、最近の調査によれば、今年の夏季休暇で海外旅行に行くと予定している人は17%に留まっているという。私の周りでも自粛意識が高まっており、ほぼ9割の人がイギリス国内での旅行を予定しているとのことだった。
また、余談ではあるが、ロンドンでは18歳以下の子どもはバスが無料、電車が半額で利用できる『フリートラベル』というサービスがある。ロンドンの子どもたちは12歳から中高一貫の学校へ通うためバスや電車で通学しており、多くの家庭はこの無料サービスでバスを利用している。しかし、6月1日、経済難の家庭や学校までの距離が2マイル以上離れている家庭など一部の対象を除いてこの『フリートラベル』が撤廃になると発表された。これを受け、市内の国際交流機関などが9月以降に同サービスを再開させるようロンドン市長に意見書を提出したが、現状では再開のめどは立っていない。早急な経済回復が望まれている。