「冬季観光」のイメージ脱却へ
冬の観光地として人気の信州エリアで、夏季の観光客取り込みに向けた取り組みが活発に行われている。2015年には電動アシスト付きスポーツ自転車を使ったサイクルツーリズム事業を開始。信越地域で9カ所のレンタサイクル拠点を設け、自由に乗り捨てできるサービスをはじめた。豊かな自然を満喫できるサイクリングをきっかけに、夏の観光客を集める狙いだ。
事業の中心にいるのは(一社)信州いいやま観光局だ。上信越高原と妙高戸隠連山の2つの国立公園にまたがる9つの市町村からなるDMOで、2010年に設立した。国内最大級のスノーリゾートである「信越自然郷スノーリゾート」として知られており、冬になると多くのスキー客が訪れる。毎年1月末~2月末には、かまくらの中で地元の鍋料理などを堪能できる「かまくら村」が設置され、海外からも多数の観光客が押し寄せる。「冬の観光スポットとしては既に多くの人に知られているが、夏の観光地としてはまだまだ知名度が高くない。冬季に偏っている外国人観光客を、夏季にも増やしていくことが課題だ」と同局担当者は話す。
昨年はラグビーワールドカップ開催によりオーストラリアやアジア圏からの観光客が増えた。これまでは1~2時間程度しか滞在しない通過点となることが多かったが、レンタサイクルの利用者も増加しており、半日(4時間)~1日(8時間)滞在する人が増えてきているという。
「昨年度はインバウンド向けのガイド付き体験型ツアー『Back to the FURUSATO サイクリングツアー』を造成し、外国人のモニターツアーを実施した。今後はアメリカのコロラド州にある『ベイルスキーリゾート』を参考に、サイクルツーリズムとトレイルトレッキングの両軸で夏季観光の認知度を向上させていきたい」(同局担当者)
今伝えたいこと
『長野県』という広い地域で考えれば観光人気は高いエリアだが、『信越自然郷』というより狭い地域で見ると、まだまだ知らない人が多い。新型コロナの影響でアウトドアアクティビティにあらためて注目が集まっていることもあり、サイクリングなどの人気はもっと高まると思う。信越自然郷には夏季にもたくさんのアウトドアアクティビティがあるということを国内外の人に知ってもらいたい。
設立年月:2010年4月
所在地:長野県飯山市大字飯山1110-1
参加自治体・企業・団体:信越9市町村広域観光連携会議構成市町村(飯山市、中野市、木島平村、栄村、野沢温泉村、山ノ内町、信濃町、飯綱町、妙高市)
年間延べ宿泊者数:国内539万3000人(2019年度)
代表者:新家 智裕理事長