旅行業者を地元に招いて魅力伝える
秋田県鹿角市はアジアの観光客を呼び込むことに力を入れている。中心にいるのが、2019年3月に日本版DMOとして認定されたかづの観光物産公社だ。民間企業として道の駅「かづの あんとらあ」の運営を兼務し、年間約3億円を売り上げる。
香港とタイから誘致することを狙う。香港からは、現地旅行会社大手のEGLが紅葉ツアーを組むなど増加傾向にある。タイは、旅行のトレンドが団体観光から個人に移行していることから減少傾向にあるものの、11月には仙台との直行便が就航する。
地域にはユネスコ無形文化遺産に指定される『大日堂舞楽』をはじめ、十和田八幡平国立公園や温泉など、さまざまな観光名所がある。市内に残る4000年前の縄文遺跡『大湯環状列石』もその1つだ。6キロメートル離れた川から運ばれた7000個超の石英門緑ひん岩が大きな環状に並べられている遺跡で、2019年7月には世界文化遺産の推薦候補に選ばれた。
だが、年間延べ宿泊者数は年間約24万人で、海外宿泊客は1万5000人にとどまる。2018年度、海外の旅行事業者やメディアを招待するファムトリップを実施し、旅行関連の展示会「ツーリズムEXPOジャパン」にも出展した。『十和田八幡平国立公園満喫プロジェクト』として近隣の青森県と岩手県と共に3県で実施したものだ。「広い範囲での知識が必要な事業だったが、海外の人たちと関わりをつくることができた」(清水涼太執行役員)
2019年度は『花輪ばやし』『大日堂舞楽』『大湯環状列石』など世界遺産級の文化財を中心に市内の観光資源を巡る着地型旅行商品をPRする。市内の体験スポットと郷土を巡るバスツアー「かづのプレミアムツアー」は3回実施した。40人の定員が、45人の参加者で実施するなど好評を得ている。
今伝えたいこと
岩船 勝広社長
2019年3月に日本版DMOに認定され、これまで以上に地域活性化や地域振興に精力的に取り組んでいる。特に、昨年より行っている『十和田八幡平国立公園満喫プロジェクト』は 青森県、岩手県と共に 3県が合同で実施している事業のため、たくさんの国の方々と交流ができ、やりがいを感じている。
鹿角市には食や歴史・文化、自然など四季折々に豊かな資源がある。この豊かな資源を点ではなく線でつながる魅力的な商品に造成し、海外の方にも伝わるようPRを強化していかなければならない。正直言って、まだまだPR力が足りないと感じている。
設立年月:2019年2月
所在地:秋田県鹿角市花輪字新田町11番地4
参加自治体・企業・団体:秋田県鹿角市、秋田銀行、十和田八幡平観光物産協会ほか
年間延べ宿泊者数:国内 22万5978人/海外 1万5207人