ゆかりある企業や学校をMICE誘致
毛利36万石の城下町として栄えた萩市には、武家屋敷が今も保存されている。江戸時代の地図を片手に歩けば、町そのものが歴史観光資源となる。木戸孝允、伊藤博文、高杉晋作など維新の立役者や、日産・日立グループ創始者の鮎川義介など偉人も多く輩出しており、ゆかりのある企業や大学が日本各地にある。萩市観光協会では、そうした企業や大学にMICE誘致を行う。
2018年10月初開催された日産鮎川義塾の研修会では、日産・日立出身の塾生らが萩を訪れ、今後も継続して開催することが決まった。「萩出身の偉人を『日本の父』と銘打ち、縁のある企業に萩を訪れてもらうようPRする。偉人を多く輩出した萩だからこそ取れる戦略だ」と厚東啓子会長は話す。
課題は、組織力の底上げと人材育成だ。行政と地域住民の連携が必要だが、地域から求められる水準は高い。「地域住民と話す際には必ず『DMOが生まれることで萩はどう変わるのか』と問われる。理想論を並べているだけでは認めてもらえないので、小さなことを積み重ねていくことが重要」(厚東会長)
2018年は明治維新150周年に沸いた一方で、市内の公共交通網の脆弱(ぜいじゃく)さや、インバウンド対応の遅れなどの課題が表面化した。協会がやらなければならないことはこの先も多そうだ。
今伝えたいこと
厚東 啓子会長
萩にしかない豊富な観光資源を活用し、観光地域づくりや地域経済の発展につながる仕組みを、地域や行政機関と連携し構築している真っ最中だ。しかし、DMOの事業には自主財源確保や外部資金導入、インバウンド営業、新観光資源の開発、次代の担い手養成、投資家や海外旅行代理店、萩ゆかりの著名人との人脈づくりなど、従来の観光推進とは次元の違う仕事が実に多い。いかに組織を高い要求レベルに応えうる少数精鋭部隊に固めていくかが課題だと考えている。
我々の活動によって、町の人たちが「萩に住んで良かった」と日々実感できる、さらには、来萩される観光客が「萩に住みたい」と思えるような萩をつくりたい。
設立年月:1955年9月
所在地:山口県萩市
参加自治体・企業・団体:萩市・萩商工会議所など観光協会会員約400社
年間延べ宿泊者数:国内 43万765人/海外 2万3838人