年間延べ宿泊者数158万人の山中湖観光協会(山梨県南都留郡)が昨年注力したのは、旅行商品の開発だ。2018年6月には第三種旅行業を取得。専門ガイドと標高1100メートルの参道を歩くトレッキングや、インストラクター付きカヤック体験、地元の神社仏閣巡りなどの旅行企画をつくった。横山知己事務局長は「海外旅行者や団体客の取り込みに効果が出ている。現在は、朝日を浴びながらカヤックやヨガ体験ができる企画や、夜行性のムササビ観察体験ツアーなど、宿泊につながるプログラムも開発した」と話した。
山中湖村は、東京から自動車で約2時間。電車など公共交通機関の便の良さもあり、観光客のリピート率は77%に上る。富士山にもっとも近い湖として人気で、豊富な自然を武器に「ゆったりとした時間を過ごせる観光地」として売り出している。
「近年は外国人観光客も増えている。こうした人にもっと長く滞在してもらえる観光形態を整えて、地域活性化につなげなければいけない。地元事業者と協力してホスピタリティを高め、『本当に山中湖に来たい』という人たちを楽しませられる観光地でありたい」(横山事務局長)
今伝えたいこと
高村 照己代表理事
「富士山ブランド」と山中湖観光の高いリピート率を、今後は自然を生かした長期滞在型観光に結びつけていくことが新たなブランド構築につながると考えている。そのためには協会スタッフと通常の財源だけでは完結できない。ボランティアの育成や、400社近い会員事業者の協力、他団体の助成金活用など、新たな段階へのステップアップが必要となってきた。会員と共に地域の新たな魅力や資源を掘りおこし、地域が稼ぐ仕組みを作り出したい。
2018年県内の観光協会として初の旅行業認可を受け、さらに東京五輪のロードレースが山中湖を通るコースに決まり、モチベーションも上がっている。ここからが正念場だと感じている。
設立年月:1967年
所在地:山梨県南都留郡山中湖村平野506-296
参加自治体・企業・団体:山中湖村、山中湖観光振興公社、南都留中部商工会、山中湖エコミュージアム推進事業団、富士急行ほか
年間延べ宿泊者数:国内 140万人/海外 18万人