自己投資・希少をテーマにした体験プログラム
群馬県安中市は、20~30代女性の宿泊客を1年で大きく伸ばした。インターネット経由で旅行を予約した人のうち、20~30代女性の割合が2016年は3%だったが、1年で23%まで増加した。
安中市観光機構(群馬県安中市)が女性客を呼ぶために行ったのが、体験プログラムの開発だ。『廃線ウォーク』『磯部せんべいサクサクツアー』『〝もぐる温泉〟砂塩風呂体験』など130超のプログラムを用意した。『自己投資』や『希少体験』をキーワードに旅行代理店と商品を開発し、モニターツアーを実施してウェブやSNSで情報を発信した。情報発信と予約の受け皿を一体化させるため、旅行予約サイト『あんとりっぷ』を開設し、ウェブプロモーションの精度を高めた。「体験プログラムの予約は、インターネット経由が9割。また、7割が首都圏在住者だ。こうしたデータを基にプロモーションを実施し、短期間で結果に結びつけることができた」(武井宏理事長)
安中市は高崎市の西部にある人口約6万人の都市だ。都心から約90分で、国内最大級のレンガ造りのアーチ橋「めがね橋」や、温泉記号の発祥の地ともいわれる「磯部温泉」が人気だ。「富岡製糸場」がある富岡市、長野県軽井沢町と隣接し、観光地としての環境は良い。軽井沢町には多くの外国人観光客が訪れているが、安中に外国人観光客はほぼいない。そこで、軽井沢町、富岡市と連携し3市町合同で海外プロモーションに取り掛かり、2018年は台湾の旅行展示会に共同出展した。
多言語対応では市内在住の外国人2人にガイドを依頼した。「海外からの旅行客対応はまだはじまったばかり。市民が積極的におもてなしに参加できるような仕組みをつくる」(武井理事長)
今伝えたいこと
武井 宏理事長
観光は、地域に暮らす市民の生活と深く結びついている。安中市には世界に誇る美しい風景や文化・風習がある。それらの価値を市民が再発見し、自らの言葉で伝えられるようになると、これまで以上に市の魅力が伝わると思う。市民に観光に興味を持ってもらい、参加してもらいたい。イベントやワークショップ、ボランティアなど、市民が楽しく参加・体験できる企画と体制をつくろうと考えている。
DMOの仕事は広い意味での町づくりだ。現状の体制はまだまだ万全とは言えず、事業の収益化にも時間が必要。課題を1つずつ乗り越え、市や市民と一体となって、安中観光を盛り上げていきたい。
設立年月:2016年10月
所在地:群馬県安中市松井田町横川441-6
参加自治体・企業・団体:ボルテックスアーク、安中市商工会、安中市松井田商工会、安中市菓子工業組合、安中市飲食店組合、群馬県立安中総合学園高等学校、秋間梅林観光協会、安中市物産振興会、碓氷製糸農業協同組合、群馬県信用組合、東日本旅客鉄道、(一社)群馬県タクシー協会 碓氷安中地区、磯部温泉組合、磯部観光温泉旅館協同組合、磯部製菓協同組合、磯部合同製菓組合、安中まちづくりの会、安中市観光ボランティアガイドの会、碓氷線文化財インストラクター
年間延べ宿泊者数:国内 約22万人/海外 約5000人