課題はインバウンド 多言語対応が急務
東京駅から北陸新幹線に乗り約3時間で到着する金沢から、南西に数十分下ったところに、白山市はある。市内の白山比咩神社は、日本三名山の1つ「白山」を神体山とする神社で、全国に3000社ある白山神社の総本宮だ。毎年秋になると、地元の特産品が集まる秋祭り「どんじゃら市」が開催され、多くの観光客でにぎわう。今年は11月23・24日の2日間で約1万4000人が来場した。
「どんじゃら市」の来場者は近年増加している。今年出店した計24店舗の総売り上げは、昨年よりも約3割上昇した。祭り内で開催した白山市の観光をPRするイベントなども盛況だ。その要因について、主催する(一社)白山市観光連盟の畑盛仁事務局長は「北陸新幹線による影響ではないか」と語る。
金沢まで北陸新幹線が開通したのは2015年3月のこと。東京からのアクセスは格段に向上し、大きな話題となった。長野ー金沢間の開通によって、白山市を訪れる観光客にも大きく変化を与えた。(一社)白山市観光連盟の調査によれば、同エリアで運営されるレンタサイクルの利用者の約半分が首都圏からの観光客だ。18年度の白山市内の宿泊客数は国内観光客のみで21万6969人と増加し、主要ターゲットは首都圏・北関東圏の観光客になった。
今後の課題は周辺地域との広域連携だ。環白山広域観光推進協議会や、加賀地域連携推進会議など地域をまたぐいくつかの協議会があるが、具体的な誘客策には課題も多い。近隣地域で一体となった観光プランや周遊ルート、旅行商品の開発など、やるべきことは多いと畑事務局長は話す。「インバウンド事業の促進にも取り組みたい。観光パンフレットや観光サインの多言語化も必要で、情報発信力とおもてなし力を向上させたい」(畑事務局長)
今伝えたいこと
村山 圓八理事長
白山市には日本三大名山の1つである白山のほか、スキー場や温泉、白山比咩神社など数多くの観光資源がある。だが、今後首都圏の観光客のさらなる誘客のためには、近隣自治体と連携して新たな着地型観光商品を開発していかなければならないと考えている。また、海外観光客の誘客についても課題は多く、外国人が利用しやすい観光施設や宿泊施設を整備していく必要がある。
課題は多いが、今年3月に日本版DMOとして観光庁に登録されたことで、白山市が一体となって稼働するための組織ができた。さらなる機能強化や事業の拡充に向け、取り組んでいきたい。
設立年月:2013年1月
所在地:石川県白山市鶴来本町4丁目ヌ85番地
参加自治体・企業・団体:白山市、白山市商工会議所
年間延べ宿泊者数:国内 21万6969人/海外 5455人