鉄道施設の遺構を巡る「廃線ウォーク」を開始【全国DMO巡り Vol.50】(一社)安中市観光機構

▲1997年に廃線になった信越本線・横川~軽井沢間の線路を歩いて巡る「廃線ウォーク」

年間1000人超が参加 北海道からの参加者も

 宿場町として栄えた観光地、群馬県安中市が鉄道を生かした体験プログラムづくりに挑んでいる。主体となるのは、日本版DMOである(一社)安中市観光機構だ。2018年10月には、1997年に廃線になった信越本線・横川~軽井沢間の線路を歩いて巡る「廃線ウォーク」を立ち上げた。特に碓氷峠周辺には、歴史的価値がある古い鉄道施設の遺構が多く残されており、国重要文化財にも指定される貴重なエリアだ。以前から一部の鉄道マニアに人気だったが、廃線ウォークを開始してからはさらに評判となり、今では北海道や鹿児島などから参加する人も少なくない。現在、廃線ウォークには年間1000人超が参加している。

▲「廃線ウォーク」マップ

 安中市は磯部温泉や中山道4宿場など歴史あり、20~70代まで幅広い観光客が訪れていたが、2019年7月に磯部温泉が「恋人の聖地」に認定されてからは、若年層からの人気が爆発的に増えた。20~30代の来訪者数は昨年度に比べ23.2%増となっている。こうした流れを追い風に、現在はJRとの連携を強化しながら土産品を共同で開発するほか、首都圏近郊からの観光客誘致に向け、旅行商品の磨き直しに取り組んでいるという。

 「いま最大の課題は、来年度以降の予算確保だ。昨年度は1億1000万円の予算を地方創生推進交付金から確保したが、それも今年までの事業となっている。また、DMO推進にあたっては当機構と市とで連携しながら進めていかなければならないが、考え方の違いも大きい。新型コロナウイルスの影響で今後数年はインバウンド需要が望めないからこそ、考えをすり合わせながら取り組まなければならない」(上原将太さん)

今伝えたいこと

萩原 弘事務局長

 DMOの最大の目的は観光による地域づくりにある。当機構としては、体験プログラムの実施を通じて、地域・観光・経済団体の人たちと連携・協力し、地域の稼ぐ力を創出することが使命だと思っている。最近では、新型コロナウイルス対策として、地元のスポーツメーカーと共同で洗えるクールマスクを開発し、販売した。当初の販売目標は1500枚だったが、5500枚販売と予想以上の売れ行きとなった。こうしたさまざまな事業を通じ、それらの稼ぎを地域に循環する仕組みが定着してきたと感じている。新型コロナの影響で一部できなかった事業もあるが、今後も関係者と連携、協力して地域活性化の仕組みを広げていきたい。


法人名:(一社)安中市観光機構
設立年月:2016年10月12日
所在地:群馬県安中市松井田町横川441‐6

参加自治体・企業・団体:92団体
年間延べ宿泊者数:国内 約15万1000人/海外 約200人
代表者:武井 宏理事長

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