宿泊者数の拡大、道のり険しく【全国DMO巡り Vol.4】まちづくり小浜

▲福島県の小浜港からの眺め

 日帰り客が多く、宿泊数が伸びない。「京都に来たついでに訪れる観光スポット」というこれまでのイメージを、「泊まって1日を過ごす観光地」に塗り替えることが、おばま観光局(福井県小浜市)設立以来の課題だ。紙媒体、観光情報サイト、イベント開催、着地型ツアーや体験プログラムの開発などに年間1300万円を使い、観光地・小浜の情報発信を行うが、まだ、結果には結びついていない。

 20~30年前は、若狭湾まで海水浴に訪れる関西からの宿泊客で活気があった。今も訪れる50代以上の既存顧客は、当時からの宿泊客が多い。観光局がターゲットとしているのも彼らだ。

 しょうゆ干し、ささ漬け、へしこ、なれずしといった地域特有の加工食や、リアス式海岸がつくり出す自然、京都につながる『鯖街道』に並ぶ寺社めぐりなど、行動範囲は広い。訪れる時期も夏だけでなく、子供や孫を連れてやってくる。

▲現在2店ある町家を改装した宿。現在は3店目を改装中だ。平日は予約の空きも出るため年配者やインバンド集客に力を入れたいと考えている

 重要伝統的建造物群保存地区に指定された町家を1棟1000万円をかけて改修し、一棟貸しの宿泊施設として運用を始めた。現状は土曜日以外は空室が多く、稼働率の改善は喫緊(きっきん)の課題だ。

▲「てんこもり小浜フェスタ」は主に、道の駅、海の駅、まちの駅の3拠点で開催される

 2012年から始まった「てんこもり小浜フェスタ」は祭り、食、文化、体験型プログラム市内各地で提供するイベントで、市街から2カ月間で10万人が訪れる。事業者間の連携は年々強まり、関連イベントが増え始めているのは明るい兆しだ。

今伝えたいこと

朝倉 昌也代表取締役副社長兼企画・管理室長

 京都や金沢のような観光地の経験がないだけに、観光客に慣れていない市民もいます。観光まちづくりの政策に対する温度差が市民の中にもあります。一方で、小浜単独で大規模観光地に肩を並べていくのも難しいでしょう。県や若狭湾を囲む周辺自治体と協力する必要があります。組織としては、道の駅若狭おばま、食事処浜の四季、町家・古民家事業、新商品開発&EC事業を通じて黒字化を保っています。


法人名:まちづくり小浜(通称:おばま観光局)
設立年:2010年4月
所在地:福井県小浜市和久里24-25-2

参加県・企業:小浜市、若狭おばま観光協会、小浜商工会議所、そともめぐり、若狭箸工業協同組合、若狭農業協同組合、小浜信用金庫、小浜市漁業協同組合、れいなん森林組合、三福タクシー、大和交通、地域経済活性化支援機構(REVIC)、福井銀行
年間延べ宿泊者数:国内 14万5000人/海外 4220人(2016年)

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