地域の観光データを一元化【全国DMO巡り Vol.12】(一社)かながわ西観光コンベンション・ビューロー

▲東国と西国を結ぶ交通の要衝である東海道沿いに建てられた小田原城

 かながわ西観光コンベンション・ビューロー(神奈川県小田原市)は、神奈川県西部の地域経済や観光振興、スポーツ文化振興を目的として2016年6月に設立した。加盟するのは小田原市や箱根町など神奈川県西部の2市9町と観光協会、地元企業だ。

 設立によって大きく変わったのは、参加する各地の観光データの蓄積だ。月に一度情報交流会を開き、各地の観光情報や観光素材を取りまとめるとともに、各市町のインフラ整備の状況や観光入込客数、参加する企業の営業方針・活動内容を全体で共有。これまで見えなかった広域の観光情報を可視化することができた。

 中でも重要なのは観光入込客数だ。各地の宿泊客数などを基としたアバウトなデータではあるが、エリア別の動向が分かることで、次の課題も見えてきた。効果的な集客方法は何か、観光客視点で見たときに各地の施策に間違いはないか、さらに正確なデータを収集するために観光現場での調査は徹底できているか、といったような内容だ。

 組織の前身となったのは、2014年10月に小田原市と箱根町、小田原市体育協会、小田原箱根商工会議所が設立した「東京オリンピック神奈川県西部連絡会」だ。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたスポーツ振興のため結成された組織だが、参画する行政や観光協会間での連携は円滑に進まなかった。参加する誰もが連携のもろさを認識し、多くの自治体・企業を巻き込む広域連携の基盤は急ピッチで進められ、かながわ西観光コンベンション・ビューローは誕生した。

▲富士山を望むことができる芦ノ湖

 今後は域内イベントの視察など観光調査を進めるとともに、海外へのプロモーションや体験メニューの造成に取り組む。2019年にはラグビーワールドカップに向けた豪州代表キャンプの誘致、2020年6月にはサイクリング大会の「かながわ西地域ファンライド」が開催予定となっており、海外メディアやインフルエンサーを招へいするなどしたプロモーションを実施する方針だ。スマホゲームを活用したデジタルスタンプラリーなど回遊促進事業を行う予定もあるという。「DMOとして、こうした情報を発信するだけでなく、企画や新たな人材の参画、交流促進に関わっていきたい」(古川達高代表理事)

今伝えたいこと

古川 達高代表理事

 交通手段の発達により、今まで宿泊を必要としていた目的地でも日帰り可能になるなど、地域観光が大きく変化している。縦割りの行政環境を、民力の活用で『点から面』にいかにつなげていくかが、私たちの仕事だと確信している。各地の担当者の企画も、個別に戦っているためが故に発信力やネットワークが弱く、尻すぼみになりがちな状況である。

 世界から見たら日本は1つ。日本から見ても、神奈川は1つだ。民間の力を、行政の力でさらに広い範囲で生かしていける。そんな組織にしたいと考えている。


法人名:(一社)かながわ西観光コンベンション・ビューロー
設立年:2016年6月
所在地:神奈川県小田原市栄町1-1-8

参加県・参加県・企業:小田原市、箱根町、松田町、湯河原町、真鶴町、大井町、中井町、南足柄市、山北町、開成町他、民間企業・団体48社
オブザーバー:神奈川県県西地域県政総合センター
年間延べ宿泊者数:国内外総数 559万1000人(2014年)

関連記事

新着記事

  1. 2022-3-22

    バーチャルオフィスの利用急増 oVice、提供開始から1年半で利用数2000社に

  2. 2022-3-18

    第43回 2年ぶりの日本への帰国 厳しい検疫を体験【今日の中国】

  3. 2022-3-8

    展示会からウェビナー営業に切り替え コストダウン・二次利用可で「費用対効果高い」【リード獲得100本連載】A・R・P(神奈川県秦野市)

  4. 2022-3-3

    DMM.com、2022年度も約60業種のオンライン展示会を開催【オンライン展示会】

  5. 2022-3-1

    認知向上のため新聞に広告出稿、DMMオンライン展示会では93社にリーチ【リード獲得100本連載】 画屋(大阪府豊中市)

  6. 2022-2-17

    オンライン営業が一般化 ウェビナーやウェブ広告からリードを獲得 @関西 総務・人事・経理Week

ページ上部へ戻る