「ツール・ド・東北」が始まったのは、東日本大震災から2年半が過ぎた2013年11月3日。石巻、気仙沼、女川にまたがる一帯を走る、市民参加型の自転車レースだ。元々、河北新報社が昭和20年代から開催していたものを、震災後、ヤフーと共催で開催するようになった。初年度1300人強が参加したレースは、昨年3721人に拡大し、首都圏や海外など、地域外からの参加者が半分以上を占める。
レースが開催されて、地域外から自転車に乗るために観光客が訪れることを知り、石巻圏観光推進機構(宮城県石巻市)は『サイクルツーリズム』の聖地としてまちづくりを始めた。
今年から1台3000円でクロスバイクのレンタルを始め、自転車で食や宿泊などの観光スポットを回る『海街ライド』というツアーを始めた。コース上には、タイヤの空気を入れたり簡単な整備ができる工具を用意した休憩所を設け、自転車愛好家を迎える態勢を整える。
全国的に不調が伝えられる民泊新法に、地域の民家十数軒が登録希望を出しており、機構が支援する。「魚市場の競り見学」「地引き網」「釣り」といった海の街らしい観光資源も整備に向けて動く。
機構は、人口流出を防ぐため観光産業を育てて雇用を創出することを目的に発足した。石巻、東松島、女川からなる石巻圏内で観光客が周遊する仕組みをつくることが当面の課題だが、『サイクルツーリズム』だけでは差別化できないことを機構もよく分かっている。
今伝えたいこと
後藤 宗德代表理事
「ツール・ド・東北」の実施により、我々の地域では大会期間中のみ、イベント民泊を実施していました。これをきっかけに通年型の民泊に興味をもつ住民が増え、簡易宿所の登録を希望する家庭が現れました。これまで登録した家庭は3軒、機構では簡易宿所登録サポートに合わせて、民泊新法に沿った登録サポートをしています。地域住民が観光に携わっていただけるように活動しています。
設立年:2017年4月3日
所在地:宮城県石巻市穀町14-1 石巻市役所5階
参加自治体・団体:石巻市、東松島市、女川町、(一社)石巻観光協会、東松島市観光物産協会、(一社)女川町観光協会、NPO法人いしのまきNPOセンター、石巻商工会議所、石巻市牡鹿稲井商工会、石巻かほく商工会、河南桃生商工会、東松島市商工会、女川町商工会、石巻青年会議所
年間延べ宿泊者数:国内 24万4664人(2017年)