約85%の視聴者が最後まで視聴する動画プラットフォーム『アペルザ TV』【オンラインツール】

製造業向けインターネットサービス『アペルザ TV』
アペルザ(横浜市)

▲アペルザ(横浜市)事業開発室の下宮慎平室長

 製造業向けに販促・営業支援サービスを展開するアペルザ(横浜市)の『アペルザ TV』が好評を博している。ものづくり技術者向けの商品・サービスを独自インタビューで紹介する動画を配信するサービスで、1年半で15万人以上が視聴した。好評の理由は何か、事業開発室の下宮慎平室長に聞いた。

▲『アペルザ TV』のサイトには動画の配信予定が並ぶ

―『アペルザ TV』とはどのようなサービスですか

 製造業の技術者に向けた商品・サービスを紹介する動画を視聴できるオンラインプラットフォームです。企業へのインタビュー動画や展示会のレポート動画などがあるのですが、紹介している企業の担当者の名刺をダウンロードしたり、個別に質問できる機能も付いています。新型コロナウイルスの影響で対面営業がしにくくなったことを受けてスタートしたサービスで、2020年夏にプレ運用を開始、2021年8月に正式運用をはじめましたが、現在までに100社超を取材して200本以上の動画をアップしています。視聴者の反応も良く、約85%の視聴者が動画を最後まで見ているという結果が出ている他、動画を見終わった直後に多くの問い合わせが来るという企業もあります。

―多くの視聴者がそこまで強い関心を持って動画を視聴する理由は何だと思いますか

 製造業はもともと動画による情報収集との親和性が高いのです。我が社の調査では、製造業の技術者の約6割がオンラインセミナーに参加した経験があり、そのうち9割超の人が「視聴したことで製品や技術に興味を持った」と回答しています。ただ、現在の製造業は「どんな価値を提供できるか」や「どんな課題を解決できるか」を訴求できなければ製品が売れないため、サプライヤーからの一方的な商品・サービス紹介動画では、それぞれの技術者が抱える課題解決にどう生かせるかが伝わらないのです。そこで『アペルザ TV』では、インタビュー形式を取り「なぜこの商品・技術に注目すべきか」や「これによってどんな課題の解決につながるか」を第三者の視点に立って伝えることを重視して動画を編集しています。

―視聴者を集めるためにどのようなことをしていますか

 グループサイト全体の利用者に向けたメルマガで集客しています。検索エンジンなどからの流入はまだ少なく、ほとんどがこのメルマガからの視聴となっています。

製造業の独特な構造や商習慣に合わせたDXを提供

―製造業では、新規顧客開拓よりも、既存顧客への営業が重視されるということですか

 そもそも製造業の営業は新規顧客をまっさらな状態から開拓するということ自体が非常に少ないのです。新たに自動車製造に参入するメーカーがいないように、製造業に新規に参入するプレーヤーはほとんどいません。アメリカのテスラ社のようなケースもなくはないのですが、まれなケースでしかありません。そのため、新規顧客の開拓よりも既存顧客との関係性を構築することの方が重視され、営業活動といえば既存顧客へのリピート発注を狙うことがほとんどです。「2割の顧客が売上の8割を占める」などとも言うのですが、わずか2割でも太い売上に結びつく顧客をしっかりと捕まえることが重要で、その顧客を失ってしまうと大きな損失につながってしまうというのが製造業なのです。2割の太い顧客を大切にしながら、残りの8割に対しても常に情報を発信して関係性を強めていくことが重要なのです。

―製造業ならではの独特な構造があるということですね

 製造業ならではの商習慣といえば、今でも受発注はFAXで行われています。2020年に新型コロナの影響でテレワークが叫ばれるようになった時、製造業では「FAXの確認ができないから出社しないといけない」という理由でテレワークが広がりませんでした。製造業におけるFAXは他の業界におけるメールに近い感覚のもので、今後5年から10年は変わらないのではないでしょうか。ただ、もちろん不便さも課題としてあり、FAXで届いた見積書をさらにFAXで別の業者に送ったりするので、2~3度FAXを重ねると文字がかすれて読めなくなってしまいます。こうした課題を解決するために、FAXをデジタルデータ化してクラウド上に保管するサービスなども我が社で展開しています。他業種であれば当たり前のようなサービスであっても、製造業の実情に合わせてサービス化しなければなりません。だからこそ、我が社のような製造業に特化したDXサービスを提供する企業が必要だと思っています。

―製造業ではどのようなDXが起きているのでしょうか

 我が社が会員向けに行ったアンケートによると、オンライン会議ツールの利用者が35%から91.2%へと急増しています。対面を重視する業界でしたが、オンライン会議が急速に普及していると考えられます。新型コロナを機にYoutubeチャンネルを始めた企業も多く、動画コンテンツに対する関心も高まっているようです。

 また、展示会でもDXが進んでおり、2021年10月に開催された「Smart Sensing 2021」ではオンラインで出展している企業と会場を訪れている来場者をマッチングする場が設けられました。リアル会場の中にオンライン出展企業をまとめて紹介するサテライトパビリオンを設置して、リアル会場にやってきた来場者がオンライン出展者の情報をしっかりと認識し、マッチングするという仕掛けです。これは我が社がJTBコミュニケーションデザイン(東京都港区)と業務提携して実施したもので、我が社が持つウェブプラットフォーム技術を使ってリアルとオンラインの展示会を相互に連携させるという試みです。

―今でもFAXで受発注していると聞くとDXに対する抵抗も強いように思えますが、今後はDXが加速していくのでしょうか

 製造業はもともと工夫を凝らすのが好きな人が多い業界なので、じきに順応できると思います。新型コロナで対面の機会が減りましたが、一方で、商品の操作マニュアルをiPadに入れて渡すなどの工夫をしてフォローする企業も増えています。他の業界にはない構造はあるものの、製造業に合うDXは今後さらに広がっていくと思います。

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