長谷川遼平のイベント取材日記(2)

副社長自ら呼び込み続ける企業

 展示会を訪ねると、業種を問わず興味を引く商品に必ず出合う。学生の研究から生まれたロボットや、印刷会社が作ったウェブサイト編集アプリなど、既存品にはない魅力が詰まっている。

 一方で、そうした商品を扱うブースに立つスタッフのモチベーションはまばらだ。展示会に慣れない営業スタッフたちは、開場直後は声をからしてチラシを配るが、昼過ぎには疲れて座り込む。

 そんな中、「産業交流展」で商品撮影用のカメラを販売していたアポロクリエイト(東京都品川区)の竹正恵祐副社長は違っていた。ブースの中でピンマイクをつけ、大きな声で商品の実演に励む。その元気な声に後押しされ、来場者たちは引き寄せられるように足を止め、商品に見入っていた。

 ブースに動員したスタッフは2~3人だったが、周囲のどのブースよりも目立ち、活気があった。「ただ商品を置いておくだけじゃ、お客さんは来てくれないから」と竹正副社長は額に汗をにじませながら話す。

 「雨垂れ石を穿つ」というが、ただ呼び込みを続けるだけでも客は必ず増える。取材のために会場をぶらつく記者でさえ、声をかけられなければ思わず見逃してしまう商品があるのだから、間違いない。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材。

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