怒れる展示会業界の声の行方

 2020年東京五輪・パラリンピックに伴い東京ビッグサイトの展示会使用が制限される問題を取材する中で、業界に滞留する怒りが見えてくる。

 「インテリアライフスタイルリビング」に出展するドリームベッド(広島市)は、「オリンピックを中止しろ、と言いたいわけじゃない。だが、展示会が1つなくなるだけで、うちの売上は数千万円なくなってしまう」と声を荒らげる。オリンピック開催の狙いが日本経済の活性にあるのであれば、それによって既存の経済活動が犠牲を受けるなど、甚だおかしい事態だと言える。

 問題の真っただ中に置かれる東京ビッグサイトの広報を務める北浦健さんは、ある日、展示会の関係企業から「あなたたちは、自分たちが運営しているビッグサイトという会場の、本当の価値を理解していない」と言われたことが忘れられない、と話す。毎日のように展示会が開かれるビッグサイトに勤め、展示会が担う意義も自分なりに理解しているつもりだ。だからこそ、都に対して使用期間の縮小などを訴えかけているのだが、それでも都としての方針と利用者の声に板挟みとなり、苦しんでいる。

 現在も競技場問題が取り沙汰されている東京五輪だが、近い将来、必ずビッグサイトの利用問題が大きく取り上げられることになる。そのとき、世論を動かすのは展示会に生きるすべての企業なのだと、実感した。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材。

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