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人の気配を感じないことがリアルとの大きな違い @CEATEC オンライン【オンライン展示会】
- 2020/10/29
- CEATEC(シーテック), IT・情報処理, オンライン展示会, 電気・電子・半導体
会期:2020年10月20日(火)~23日(金)
アーカイブ期間:〜12月31日(木)
主催:(一社)電子情報技術産業協会
出展者数:356社
完全オンライン開催となった「CEATEC 2020 ONLINE」に本紙記者が参加した。カンファレンスと企業の展示ブースエリアについてレポートする。
【この記事の内容】
1.カンファレンスについて
視聴人数が出た方がライブ感がある
2.企業ブースについて
動画は3分でも長いと感じた
3.出展者の声
ブース来場者数は大幅増 だが話はできない
4.インターフェイス
訪問したブースが分かる履歴機能は有効
5.ライブ感について
1.カンファレンスについて
視聴人数が出た方がライブ感がある
カンファレンスの画像、音声はクリアだった。外国人スピーカーの言葉には、自動翻訳機能が設けられていたが、タイムラグは少なかった。PC、スマホ、タブレット、どのデバイスからも問題なく視聴できた。複数のカンファレンスの存在を事前に確認し、スケジュールを組んでハシゴできるのは、良かった。
自分以外の聴講者の存在を感じられない点においては、ライブ感に欠けた。コメント投稿機能はあるが、記者が視聴した際はあまり活用されていなかった。
操作方法によりYouTubeに飛ぶときがあったのだが、そこでは視聴人数が出てチャット機能も稼働していたので、ライブ感を感じることができた。
登壇している企業に関心を持っても、ライブ配信ページから企業のブースに移動できない。その都度企業の展示ブースエリアで検索をかけなければならないのは不便だった。
2.企業ブースについて
動画は3分でも長いと感じた
企業ページに並ぶ商品やサービスのバナーが、展示会における展示パネルにあたるのだろうと思って見ていた。バナーを選択して中に入り、動画視聴や資料ダウンロードといったアクションを行うことで、出展企業に来場者情報が伝わる仕組みだ。来場者登録を行う際に個人情報の第3者利用に関する項目は記載されていたが、会期後にお礼メールが送られてきた際には「なぜ連絡先を知っているのだろうか?」と驚いた。
動画は出展企業が自分で決めているのだろうが、3分以上のものは長いと感じた。たくさんの企業が動画を掲載しているため、個人的には、1分程度で済ませてほしいと思った。30分以上の動画もあったが、たくさんの情報収集をしたい来場者は、すぐに離脱してしまうのではないか。簡潔に魅力を訴求する動画が見たい。オンライン展示会では、動画選定スキルが問われると思う。
3.出展者の声
ブース来場者数は大幅増 だが話はできない
ユカイ工学(東京都新宿区)
『ニューノーマルソリューションズエリア』に出展したロボット製造のユカイ工学(東京都新宿区)には1500人が来場した。いいねボタンを押す、資料のダウンロード、動画の視聴などのアクションを起こした人の情報を得ることができ、彼らとのコンタクトが可能になる。展示会で名刺交換をするのと同じだ。
来場者層はリアル展示会と変わらない。機器メーカー、デバイス、IoT、スマートコミュニティを作っている不動産業者、自動車メーカーなどが例年通り来場した。目的はロボットとの協業が多い。
集客できたのはよかった。昨年は200人弱だったため今年は約1500人に増えた。簡単に話をすることもできるチャット機能も活用できた。また、動画の運用に関しては、資料ダウンロードにつながりやすい経路も可視化できた。今後のオンライン展示会で活用できるノウハウを得られたのは大きな収穫だとのことだ。
課題は、来場者のニーズが分からないことだ。この仕組みで来場者の声を聞くことが難しい。どんなルートで、何がきっかけでブースに来たのかが全く見えない。来場者数は増加したが、どうアプローチしたらいいのか分からない。また、他のブースがどのような状況かも分からない。
1000人集まった人が何を感じたのか知るすべがない
『企業エリア』に出展した照明メーカーの担当者も、1000人の来場者があり、動画の視聴回数が伸びた。だが、チャットでの問い合わせがないため、動画を観た人が何を感じたのかがつかめないという。
来場者が集まらなかったブースも
『Co-creation PARK』でセンサー技術を展示した大学研究室には来場者が来なかった。エリアによって、出展効果は大きく異なっているようだ。バナーが比較的大きいところは何をPRしているかがバナーで伝えられるが、小さいバナーでは埋もれてしまったようだ。
4.インターフェイスについて
訪問したブースが分かる履歴機能は有効
参加して1時間すると、サイトの仕組みに慣れ、企業ページとカンファレンス、企業とのチャットを気軽に行き来できるようになった。
巡回中に活用したのはページ最上段に設置されたバナーだ。特に、訪問したブースを確認できる履歴機能は便利だった。訪問した日時も記録されていれば、さらにありがたかった。各ブースについてメモできる機能もあるとうれしい。
出展企業との接触にはチャットを活用した。比較的早く対応してもらえた。双方にとって使い勝手がよいのではないか。だが、チャット機能に貼り付けていた企業のバナーをクリックしても、ブースページに移動できなかった。いちいち履歴をたどらなければならないのは面倒だった。
企業ブース一覧のページには各社のバナーが整列していたが、企業ごとに世界観が分断されており、リアルの展示会において会場を歩きながら新しい出会いを探す楽しみはなかった。『CEATEC GO』というメニューではランダムに選ばれた会社の案内が出たが、1社ずつしか表示されないのは残念だった。もう少しにぎやかに、偶然の出会いを演出する機能があればうれしい。関心があるジャンルのブースをチラっと見ることができる機能も欲しかった。
5.ライブ感について
人の気配を感じられないのが、リアル展示会との大きな違いだと改めて感じた。訪れたブースで、注目を集めている商品やサービスは何か、自分が視聴しているカンファレンスを他にどれくらいの人が観ているのか。そういう情報が欲しいと感じた。出展者から、来場者として自分の存在をどう把握されているのか分からない奇妙な感覚があった。出展者にも同様の感想を持つ人がいた。