借家強制退去禁止措置が延期も「焼け石に水」@イギリス・ロンドン【8月26日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】

▲ロンドン中心部にあるレスタースクエアの様子

高い失業率続く

 イギリスではまだまだ新型コロナウイルスによってさまざまな影響が発生している。8月24日現在、新型コロナウイルスによる死者は4万1449人に上っている。以前に比べて死亡率は減少し、新規感染者数は1日あたり1000人前後にまで落ち込んではいるものの、予断を許さない状況は変わっていない。

 2週間の自主隔離を免除する渡航セーフリストも毎週変動している。21日にはクロアチア、オーストリア、トリニダード・トバゴ共和国がセーフリストから排除。22日朝4時からは同国からの帰国者に2週間の自主隔離が義務付けられることになった。この発表を受け、観光で人気が高いクロアチアからの帰国者が殺到し、航空券が高騰するなどの事態も発生した。21日にはセーフリストから排除されていたポルトガルが再びリスト入りされることが発表されたが、毎週リストから排除される国が増えていることから、次はどの国がリストから排除されるのか不安の声が広がっている。

 イギリス国内でも混乱が続いている。今週は新たにオールダム、ペンドル、ブラックバーンがエリアロックダウンに追加。世帯単位で室内外で会うことが禁止となった。また、オールダムでは2週間続けて感染率が高まっており、10万人あたり78.9人が感染者という割合となっている。ノーサンプトン、ブラックバーン、ダーウィンでも感染率が高まっており、懸念されている。

▲電車はまだガラガラだ

 失業率の高騰も歯止めがかからない状態が続く。大手スーパーマーケットの「マークス&スペンサー」が3カ月で合計7000人に上るリストラを発表した。失業者が増えていることから就職志望者も増えており、競争率は高くなっている。先日あるパブでバーテンダー1人の募集を行ったところ、1000人以上の申し込みがあったという。政府が実施する借家からの強制退去禁止令が、当初予定の8月24日から9月20日まで延長となったが、失業率の高騰がとまらない中で「焼け石に水」ともささやかれている。

 規制も引き締めが続いている。マスク着用義務違反者への罰金は最高3200ポンド(約50万円)へと引き上げられることが発表された。初回は100ポンド(約1万5000円)、2回目は200ポンド、3回目は400ポンドと倍増される仕組みだ。警察の見回りも強化されており、ソーシャルディスタンスの確保や人数制限を実施していないイベントには主催者などに1万ポンド(約150万円)の罰金が科される。違法なイベントは7月のみで530件以上に上っており、若者への批判も強まっている。サッカーのプレミアリーグが9月12日に開幕される予定だが、無観客で実施する意向が明らかにされており、多くのファンが肩を落としている。

 教育現場は徐々に再開されているが、通常通りに戻るのはまだ遠そうだ。24日から7年生・12年生・14年生を対象に学校が再開となったスコットランドでは、セカンダリースクールでのマスク着用が義務化された。小学校の生徒はスクールバスの中とセカンダリースクールの公共エリアでは義務化されている。こうした対応を受け、イングランドでもローカルエリアロックダウンされている地域のセカンダリースクールの共有エリアを対象にマスク着用が義務化された。今後は欧州でも次々と学校が再開される予定で、イングランドでは9月1日からのスタートとなる。他にもウェールズや北アイルランド、スコットランドなども9月から順次再開予定となっている。短縮授業での開始となるところも多いが、少しずつ教育現場は動き出している。

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