海外からスポーツキャンプを誘致【全国DMO巡り Vol.15】(一社)アントラーズホームタウンDMO

▲100面以上のサッカーグラウンドを有する国内有数の合宿地。2018年度はタジキスタン、スリランカ、東ティモールなどの代表チームが合宿を行い、7月には鹿島アントラーズと共催でスタジアムキャンプも実施し

1年目で新規宿泊2000泊を創出

 アントラーズホームタウンDMO(茨城県鹿嶋市)は、2018年1月に誕生したばかりだ。茨城県南部の鹿嶋市、潮来市、神栖市、行方市、鉾田市の5市と4社の民間企業が設立に参加し、そのうちの1社がプロサッカーチームの鹿島アントラーズFCだ。

 「アントラーズがあるので、スポーツ合宿やキャンプの誘致実績が豊富にある。しかし、それらのスポーツツーリズムと地域にある他の観光資源が結びついていなかった」と話すのは、錦織孝一代表理事だ。インバウンド合宿の誘致により、設立1年目で2000泊超の新規宿泊を生み出した。地域間の連携や情報共有などの仕組みづくりが結果に結びついた。その一方で、「DMOならではの多角的なビジネス展開の推進ができていない」(錦織理事)という。

▲水郷潮来あやめ園では、約500種類・100万株のアヤメが栽培される。5月下旬から6月下旬にかけて催されるあやめまつりには、毎年約80万人が訪れる
▲鹿嶋市花火大会は北浦湖畔で開催される夏の風物詩

 7月、中国広州から少年サッカーチームの合宿を誘致した。現地コーディネーターから聞いた話では、一緒に来日していた選手の父兄ら数人が、潮来市にある北浦沿いの風景や穏やかな雰囲気を気に入り、当初予定していた東京への観光をキャンセルして潮来に滞在したという。地域には鹿島神宮や東国三社、『なめがたファーマーズビレッジ』という農業体験施設、花火大会などの観光資源がある。「こうした地域の魅力を、スポーツツーリズムの先につなげたい」(錦織理事)

 インバウンド観光の推進に注力する行政は多いものの、インバウンドのスポーツ合宿を精力的に狙う地域はまだ少ない。

今伝えたいこと

錦織 孝一代表理事

 インバウンド合宿事業が好調で、初年度から順調なスタートダッシュが切れた。しかし、組織としてのDMOはまだまだ力不足で、業務を効率的、迅速に進める態勢を整えなければならない。参加する地域や関係者も、これからは中長期視点で、地域全体にとってのメリットを考えるステークホルダーの姿勢が必要となる。

 地域にはスポーツを楽しむ環境や豊かな農水産物、悠久の歴史・文化など魅力的な観光資源が数多くある。これらをエンターテイメントとして有機的に結び付け「行きたい」「また来たい」と思っていただける観光地になるための仕組みづくりに取り組む。助成金に頼らず自走化できるDMOになることが目標だ。


法人名::(一社)アントラーズホームタウンDMO
設立年:2018年1月
所在地:茨城県鹿嶋市鉢形1527-4

参加県・参加県・企業:鹿嶋市、潮来市、神栖市、行方市、鉾田市、鹿島アントラーズ・エフ・シー、なめがたしろはとファーム、ザ・ロイヤルゴルフクラブ、関彰商事
年間延べ宿泊数(見込み):国内 388泊/海外 2063泊

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