長引くロックダウン @イギリス・ロンドン【5月11日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】
- 2020/5/29
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反対派がグループハグで抗議する事件も
イギリスでは、4月30日に100歳を迎える退役大尉のトム・ムーアが、さかのぼること4月6日に、25メートルある家の庭を100往復し、NHS(National Health Service・国民保健サービス)の為に1000ポンド(約13万円)の募金を募るキャンペーンを始めた。16日、100回目のターンに合わせて、ミュージカル俳優のマイケル・ボールが「you’ll never walk alone」をBBCの生放送で歌った。NHSの合唱団とトムの歌を乗せた曲が発売されると、全英シングルチャートで1位を獲得した。募金は国内外から集まり3279万ポンド(42億円超)に達した。30日の誕生日当日には、15万通のカードが届き、空軍のフライパス、勲章とともに大佐への昇進が盛大に祝われた。
毎週木曜日夜8時にNHSに送られる拍手は続いている。その一方で、イギリスは5月5日に新型コロナウイルスの感染による死者数が2万9315人になり、イタリアを超えた。ロックダウンが長引く中で、食べ物を無料で提供するフードバンクの利用者が増加しているが、募金や寄付は減り、三食食べられない子どもも出ている。スーパーには相変わらず、卵、粉類、イースト、砂糖がない。状況が改善しないことへの恐怖と不満が高まり、DV、虐待の件数も増えた。ロックダウン反対派が警察庁の前で20人ほどがグループハグで抗議し逮捕される事件も起きた。
政府は10日、ロックダウンに関する緩和政策を発表した。建築現場や工場は活動を再開し、14日には1日1回だった運動のための外出も無制限になった。とはいえ、活動は家族のみに限られ、従わないと警察から100ポンド(1万3000円)の罰金を課されることもある。レストランやパブは早くとも7月といわれる。
学校は6月1日に再開する予定だ。1年生と6年生から再開し、カリキュラムに時間差を設け、校内でも物理的距離を保つように規則が変わる。その後、セカンダリースクール(日本における中学・高校)が再開する。
だが、政府の発表に対しては、国民の間でも「まだ早い」という反応も多く聞かれる。