非常事態宣言下でも、大きな変化はなく @タイ・バンコク【4月5日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】

▲銀行は営業可能だが、支店の判断で休業する店舗もあり、休業の張り紙を読む市民の姿もある

 タイは3月26日から非常事態宣言下にある。とはいえ、人々の外出は基本的に制限されておらず、日常生活は想像するほど危機的ではない。非常事態宣言に先駆けて、22日から首都バンコクをはじめとする数県で飲食店、商業施設が強制的に休業になり、多少の不便を感じるようになった。休業強制は4月12日までの予定だったが、非常事態宣言に合わせて4月30日まで延長された。

 諸外国との間では限りなく封鎖状態に近いが、タイ国籍者や労働許可証を保有する外国人でも、感染の陰性証明があれば入国できる。ただし、入国者は14日間の強制隔離で政府や行政の管理下に置かれる。宿泊費や食費は政府が負担し、宿泊施設はバンコクから離れているものの、きれいな民間ホテルが多い。在住外国人の中には「泊まりたい」といった冗談もささやかれるほど、気持ちに余裕がある。

▲スーパーでは食料品以外の売り場は閉鎖されている

 小売業者はほぼ全て強制的に休業となったが、飲食店のテイクアウトやスーパーの食料品、銀行には営業許可が出ているため、生活に困ることはない。アイスクリームショップやカフェなども開いており、基本的にあらゆる食料が手に入る。物流も止まっておらず、生活に支障はなく、懸念していたほど不自由は感じていない。

 終息がどのような形で、いつ訪れるのか、めどが立たない不安はある。4月3日から、非常事態宣言下における措置の一環として、タイ全土で22時~翌4時まで夜間外出禁止令が発出された。違反すれば2年未満の禁固、4万バーツ(約13万円)未満の罰金が科せられる。今は日中は問題なく外出できるものの、この外出禁止が昼間にもおよぶと生活に影響が出る人は増えるだろう。

 強制休業で営業停止中の企業には、資本不足から倒産に追い込まれるところも出てきた。外国人の場合、経営者、従業員問わず、ビザや労働許可証の問題にも直面している。日本の帰国者に対する隔離措置に関して、国外にいると詳細が不透明で不安は大きい。航空機の便数も大幅に減っており、帰国もままならない。

 タイにいられない、日本にも帰国できないという状況が現実に近づきつつあり、在住者はウェブや口コミで情報を収集し、身の振り方を考え始めている。

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