沖縄県の観光客数は5年間で1.6倍増加し、958万人となった。同じ期間に、海外からの観光客数は7倍以上増加した。特に、韓国、中国からはそれぞれ10倍前後増えた。県が台湾・韓国・中国・香港を重点市場と位置づけてきたことから、重点的にプロモーションを実施した。新規路線の開設や増便、チャーター便など航空路線の拡充も行った。クルーズ船の誘致による寄港数の拡大にも取り組んだ。
昨年、5500万円の予算を投じインバウンド観光客に対する満足度向上を目的に「ザ・祭・オキナワ」を開催した。沖縄の伝統芸能を1時間に凝縮し、舞台芸能作品に仕上げたものだ。公演は琉球舞踊・琉球太鼓・獅子舞・棒術・空手・沖縄ヒット曲・創作エイサーを盛り込み、言葉を使わないノンバーバルコミュニケーションで行った。また、英語をメインに中国語でも解説を取り入れた。
課題は3点見つかった。1点目は開催場所について。来場者を増やすためにはクルーズ船客が移動しやすい会場を選定し、シャトルバスの運行など交通環境を整備する必要があった。2点目は、販売促進について。旅行会社へ情報を発信・共有し個人・インバウンド客を誘致する窓口を一層拡大することも必要だった。3点目は、専任の担当を配置することだ。広報から実施運営まですべての業務を統括し、関連事業社をコントロールできる社内体制が必要だった。
県は観光をリーディング産業に位置付けている。そのためには、観光客の急激な増加に追いついていない受入環境に関する課題を解決する必要がある。観光庁をはじめとする中央省庁、沖縄県、民間企業、日本観光振興協会、県内外DMO等のさまざまな関係者との連携を強化する。その動きを統率するのが沖縄観光コンベンションビューローということになるらしい。
今伝えたいこと
平良 朝敬会長
「ザ・祭・オキナワ」はコンテンツの組み立てから関連事業者と連携した商品販売、運営までの一連の仕組みと実施体制を構築できた。販売にあたっては旅行社11社と契約し、複数の旅行社をひとつのサイトに集約し販売できたことは当団体の強みが生かされ、今後の販売スキームを考える上で良い事例になった。これまでの県に加え、国の支援も得ながら県の各地域との連携を深め、受入環境を整え、地域の良さを世界に発信していきたい。
設立年:1972年5月
所在地:沖縄県那覇市字小禄1831-1 沖縄産業支援センター2F
参加県・企業:沖縄県
年間宿泊者数:国内 1864万人/海外 531万人(2016年度)