『ソサイエティ5.0』が実現する 超スマート社会の到来を感じさせる @CEATEC JAPAN(シーテック ジャパン)
- 2017/10/26
- AI(人工知能), CEATEC(シーテック), IT・情報処理, 幕張メッセ, 電気・電子・半導体
会期:2017年10月3日(火)~ 6日(金)
会場:幕張メッセ
主催:CEATEC JAPAN 実施協議会
スマホで生活家電を操作してデータ化
10月3~6日、幕張メッセで「CEATEC JAPAN(シーテック ジャパン)」が開催された。AI(人工知能)やビッグデータで社会課題を解決する『ソサイエティ5.0』に関心が集まる中、生活に関わるIoT製品に関心が集まった。
「AIやビッグデータの活用で少子高齢化社会を克服したい。社会課題の解決に力点を置く『ソサイエティ5.0』がキーワードとなるだろう」。安倍晋三首相が会見でそう語ったのは、今年5月のことだ。
ソサイエティ5.0は人口の減少による産業競争力の低下や超高齢化、災害・テロ対策、地方の衰退といった日本が抱える社会的課題を、テクノロジーによって解決しようとする考えだ。自動運転技術やドローンといったさまざまな産業技術がその手段とされており、大手企業などを中心に研究が進められている。
パナソニック(大阪府門真市)の長榮周作会長は「さまざまな社会課題をテクノロジーで解決する『超スマート社会』を実現させたい。そのために必要なのは、モノとモノをつなぎ、ヒトとヒトが世代や国境を超えてつながる『コネクティッド・デザイン』という考えだ。シーテックジャパンにおいても、さまざまなIoT製品が登場しており、多くのモノがネットを通じてつながる社会が近づいている」と語る。
こうしたモノやヒトをつなぐ媒体となっているが、スマホだ。LIXIL(リクシル・東京都江東区)が家電や住宅設備をネットワークでつなぎ、スマホでコントロールするシステム『スマートエクステリア』を開発するなど、大手企業も続々と参入に乗り出している。
こうした流れが、放送事業にも変化を起こしている。NHK(東京都渋谷区)は異なるメーカーのテレビに対応し、スマホで機器を操作できるスマホアプリ「ハイブリッドキャスト・コネクトX」を開発する。スマホでテレビの操作ができるほか、セカンドディスプレイとして番組に関する情報を閲覧することもできる。
NHK放送技術研究所の上原道宏さんは「たとえばサッカーを観戦していて、応援しているチームが得点を決めると、照明の色を変えたり、点滅したりすることで室内を盛り上げる。あるいは、過去に視聴した番組で紹介された観光地を車で走行すると、カーナビに『以前、テレビで見た場所です』とアナウンスが表示され、観光情報を見ることができる。番組の視聴に関する個人データがスマホに蓄積されることで、多くの場面で番組にひもづいた情報を提供できるようになる」と語る。
公共事業にもスマホの活用が広がりそうだ。JIPテクノサイエンス(東京都中央区)が開発するのは、スマホを道路の検査機器として活用する『DRIMS』だ。スマホに搭載される加速度・角速度センサーなどを使って道路の点検をおこなう。従来の専用車両による調査より価格を20分の1に低減する。
同社の田中正義さんは「走行した路上の揺れ具合などから異常を検知し、地図データに記録する。現在、内閣府からの支援を受け社会実験を進めており、近い将来、本格的にリリースできると思う」と語る。
国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材。