追跡アプリの通知による出勤停止の対象が半減へ @イギリス・ロンドン【8月11日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】

▲久しぶりの青空が広がったロンドン

 イギリス政府は、新型コロナウイルスの追跡アプリにおいて、通知する対象者が68万人から39万人と、43%減少したことを発表した。従来は、陽性を確認した時点から5日前までの濃厚接触者に通知していたが、2日前までに短縮したことが影響している。通知を受け取ると10日間の自己隔離が必要なため、出勤できない人が増加しており、ごみ収集や公共の交通機関が機能しない、物流が遅れてスーパーや小売店に商品が陳列できないといった事態が発生していた。

 旅行先の国や地域をリスク別に分け、帰国後の対応を3段階に分類した『Traffic Light system(信号機システム)』では、ドイツ、オーストリア、ノルウェーなど36カ国が、自己隔離が不要の緑色に分類されている。感染状況の変化により、8日からフランス、インド、バーレーンなどは黄色へ、メキシコは赤色へ移行された。メキシコにはイギリスからの旅行者が5000~6000人滞在していたが、赤色に分類された場合は、帰国後に国が指定するホテルで自費での自己隔離が必要となるため、帰国を急ぐ人が殺到した。

 妊娠中の女性に対する、新型コロナのワクチン接種が伸び悩んでいる。妊娠後期に感染すると重症化しやすく、5人に1人は早産や帝王切開の出産になる可能性が指摘されている。政府は、ファイザー製またはモデルナ製のワクチンを優先的に提供しているが、未接種で入院する事例が増加しており、妊娠中の接種を推奨している。

 国内では、新型コロナのワクチン接種を拒否した男性が、感染して亡くなったことが分かった。ワクチンの陰謀説を信じて製薬会社を激しく否定していた。ワクチンの未接種と死亡の直接的な関係は不明だが、メディアは「未接種だから死亡した」という主旨で報道した。遺族は、ワクチン接種を呼びかけている。

▲にぎわいを取り戻すボロ・マーケット。ロンドン橋近くに位置する、ロンドン屈指の人気食材市場だ

 ロックダウンが解除された7月19日以降は、マスク着用の義務がなくなり、若年層を中心に未着用の人が増加した。公共の交通機関では、着用義務は継続しているが、2割の人は違反している。マスクに慣れていないことや、夏になり30度前後の暑さで、呼吸がしづらいことも関係しているのかもしれない。しかし、現在の新規感染者は2万3510人、死者は146人と、高い水準で推移している。

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