隣国ミャンマーのクーデターによるデモが活発化 @タイ・バンコク【2月20日/新型コロナウイルス世界の反応・現地レポ】
- 2021/2/26
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感染拡大や不法入国を懸念する声も
隣国ミャンマーで起きたクーデターにより、タイでもデモ活動が活発化している。ミャンマー国軍は2月1日、アウンサン・スー・チー国家顧問やウィン・ミン大統領らを相次いで拘束し、政権を掌握したと発表。これに対しミャンマー国内では拘束された関係者らの解放などを訴えるデモが多発し、死者も出ているとの報道もある。
タイの首都バンコクでもミャンマー人による抗議活動が数多く行われているが、新型コロナウイルスにより緊急事態宣言が発令されていることもあり、密になる環境を危険視する声もある。タイに在住するミャンマー人は最大で200万人にも上るとされており、タイにおける単純労働や低賃金労働の多くを下支えする存在となっている。一方、昨年12月には不法就労していたミャンマー人が発生源とみられるクラスターにより500人超の新規感染が発生したこともあり、風当りは強い。
不法入国者の増加を懸念する声も高まっている。ミャンマーでは以前から長期にわたって軍事政権が続いており、1984年ごろからは貧困にあえぐミャンマー人が徒歩でタイに入り込むケースが増えていた。現在タイ国内にある9カ所の難民キャンプには約12万人のミャンマー人が滞在しているが、タイ政府の難民申請の受理が進まないことから行き場のない状態が続いている。新型コロナによるパンデミックに対する不安意識が高まる中で、こうしたミャンマー人の不法入国に対して厳しい見方をする人も少なくない。
一方で、今回のクーデターによる経済的影響を懸念する声もある。地元の英字新聞バンコクポストは、クーデターによる経済損失は1日あたり5000万バーツ(約1億7600万円)にのぼると報道。ミャンマーとの国境貿易は月間20億バーツ(約70億円)と言われており、クーデターによってこうした取引が停滞することも不安視されている。タイでも2014年に起きたクーデターによって欧州などで不買運動が過熱し、大きな打撃を受けた過去がある。バンコク在住の日本人からは「今のところ日常生活への悪影響は感じられない」との声があるが、このままの状況が長引けばタイにおける影響が広がる可能性もある。
タイでもかつてクーデターによって政権を掌握していたことから、ミャンマー国軍総司令官がタイ政府へ支援を求める書簡を送ったが、タイのプラユット首相は「民主化プロセスを支持する」と回答。今後の動向と影響に注目が集まっている。