ジビエや業務効率化関連商品に注目集まる @アグロ・イノベーション
- 2020/12/11
会期:2020年11月11日(水)〜13日(金)
会場:東京ビッグサイト 青海A
主催:(一社)日本能率協会
出展者数・小間数:134社・204小間
出展者層:農業資材、農機、スマートアグリ技術、選果、加工、包装、各種ITサービス、野菜・果実
来場者層:農機メーカー、農家、自治体、商社・卸、飲食店経営者
構成展:農業資材展、スマートアグリ技術展、農産物加工・流通技術展、農作業負担軽減展、土づくり展
同時開催:野菜・果物ワールド、草刈り・除草ワールド、フローラル・イノベーションEXPO、鳥獣対策・ジビエ利活用展
農業の生産から収穫、加工、流通など幅広い分野を扱う展示会「アグロ・イノベーション」が、「野菜・果物ワールド」「草刈り・除草ワールド」「フローラル・イノベーションEXPO」「鳥獣対策・ジビエ利活用展」とともに開催された。来場者は前回の約半分となる5806人だったが、出展者からは「目的意識のはっきりした人が来場していたので、感触は昨年と変わらない」という声が聞かれた。
今回特に注目を集めたのはジビエ関連の出展者だ。同時開催された「鳥獣対策・ジビエ展」は今回で2回目の開催。ジビエを推奨する政策も追い風となって、注目する事業者が増えているようだ。
「まだ多くの人がジビエを知らない。もっと広がる可能性がある」と語るのは、昨年に続き出展したわかさ29工房(鳥取県八頭郡)の河戸建樹さんだ。獣肉の解体処理施設を運営しており、鹿肉や猪肉の販売を行っているという。「今のところ取引先の7割が外食産業。スーパーなどの小売店にも卸しているが、全体の2割程度だ。今回来場者に試食してもらったが、多くの人がジビエを食べたことがなかった。特に若い世代や女性は知らない人が多く、試食してもらうと『臭みもなくおいしい』と言ってもらえた。このような展示会に出展することで多くの人に知ってもらい、もっと広めていきたい」と河戸さんは語る。
近年になってジビエが注目を集めるようになった背景には、国の政策がある。鳥獣被害が多発していることから、現在、鹿や猪の駆除に1頭あたり1万~2万円程度の報酬が出る。だが、仕留めた鳥獣の写真と必要書類を提出するだけで申請できることから、そのまま仕留めた鳥獣を不法に投棄する人も多い。こうした不法投棄を解決するため、1~2年ほど前から処理施設を建設したが、持ち運ばれる鳥獣は現在でも申請件数の約1割程度だ。
また、人手不足の解消につながるサービスにも注目が集まった。ドローンによる農薬散布など、農業従事者の負担軽減や業務効率化に関するサービスを扱うブースには多くの人が集まった。
水門の開閉システムなどを扱うジェー・フィルズ(福岡市)は約60枚の名刺を獲得した。遠隔で水門を操作できるシステムは、停電時でも使用できるよう太陽光で蓄電できるものもあり、好評だという。平石義高さんは「農業の盛んな地域であれば、1つの町に300~400基の水門があることも珍しくない。だが、 地方の農家は高齢化と人手不足で水門の管理がおろそかになりがちで、高齢者には水門の開け閉めは大変だ。ブースには自治体や農家の人が足を運んでくれた。多くの人が関心を持ってくれたようで、感触はいい」と語る。
来場者は前回の1万1489人から大幅に落ち込んだものの、出展者の多くに不満はないようだ。今年で5回目の出展となる小泉製麻(神戸市)の大西郁さんは「例年よりも農業生産者は少ないと感じたが、ブースに来てくれた人数で言えば昨年と変わらない。目的を持ってきている人が多いようで、来場者の質は非常に高い」と話す。また、昨年から出展している表面処理機器メーカーのトーカロ(神戸市)の原田亘さんも「全体の来場者数は激減した。もっと少ないのではないかと思っていたが、具体的な困りごとを持っている来場者が多いので、中身の濃さは昨年と同等。イラクとウズベキスタンの農業関係者も来ていた」と語る。