スペインからの帰国者に2週間の隔離を義務付け @イギリス・ロンドン【7月29日/新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ】
- 2020/8/3
- イギリス, 新型コロナウイルス世界の反応, 新型コロナウイルス関連記事
イギリスでは本格的な夏休みシーズンに突入した。スペインやフランスなどに旅行に出かける人が増えているが、イギリス政府は7月26日、スペインをホリデーリストから除外することを発表した。これにより、スペインからイギリスへ戻る際に2週間の隔離が義務付けられることになった。発表が急だったこともあり、既ににスペインへ旅行に行っている人から困惑の声が上がっている。発表を聞いてすぐにイギリスへ引き返す人や予定をキャンセルする人も多い。隔離指示に従わなかった場合には最高で1000ポンド(約13万8000円)の罰金となる。
チャイルドケア受け入れ困難により女性の就労環境が悪化
また、コロナ下でチャイルドケア(幼稚園などでの学童保育)が例年通り受け入れられず、問題となっている。夏休み期間中はおおよそ9時から18時の間を学校の施設や公園などで保育してくれる「キャンプ」と呼ばれるチャイルドケアがあるが、新型コロナの影響からさまざまな規制がかけられている。人数の規制がかかるほか、チャイルドケア自体を行わない地域もあり、母親2000人を対象にした調査では72%もの母親が影響を受けているとの結果が出た。仕事の時間を短縮したり、リストラにあった人もおり、深刻な問題となっている。
24日からはイングランドの特定の店舗などでマスクの着用が義務化された。対象となるのは小売店、スーパーマーケット、ショッピングセンター、銀行、郵便局、カフェ、レストラン(食事中以外)、駅、空港、公共交通機関。11歳以下の子どもや身体精神疾患者などは対象外となる。ちょうど24日高速道路のドライブインに寄ったところ、マスクを所持していない人向けに配布しながら着用を勧めていた。
本格的な夏休みシーズンを迎え、第2波の到来を恐れる声が高まっている。先日、イングランドからの旅行者に人気の南ウェールズを訪れた。海や自然が豊富で、キャンプ場も多数あることから、毎年多くの観光客でにぎわっている。最近になって観光客が増えてきているようで、現地では感染拡大を恐れる声が高まっているという。他国への渡航に関しては規制が強まっており、25日にキャンプ場が解禁されたことから今後さらに観光客が訪れるとみられているが、現地の人々は感染拡大の恐怖と経済活性の間に揺れている。パブやカフェ、レストランは外での営業が許可されているが、ウェールズでは雨が多いため、営業再開に踏み切れない店舗も多いようだ。
また、最近UCL(ユニバーシティカレッジ・オブ・ロンドン)が発表した、ロックダウン期間中の人間関係の悪化に関する調査が話題を集めている。家族や恋人、同僚との関係についての調査で、「悪化した」と答える人が多数いた。具体的には、友人関係で悪化したと答えた人が20%、同居するパートナーや恋人との関係が悪化したという人が18%、Zoomなどリモート会議などが原因で同僚との関係が悪化したという人が20%だった。悪化したと答えた人の多くは大人数で同居している人、小さな子どもがいる家庭、収入の少ない家庭が特に多かった。また、年代による違いも顕著で、関係が悪化したと答えた人の多くは30代未満で、60歳以上の人は「変わらない」と答える人が多かった。コロナ下によって多くの人がコミュニティの大切さを実感する結果となった。