物流業界【業界通が行く!】①
- 2016/10/3
主役は製造メーカー 配送料を負担する最大顧客
会期:2016年9月13日(火)~16日(金)
会場:東京ビッグサイト 東1~3・5・6
主催:(一社)日本産業機械工業会、(一社)日本産業車両協会、(一社)日本パレット協会、(一社)日本運搬車両機器協会、(一社)日本物流システム機器協会(公社)日本ロジスティクスシステム協会、(一社)日本能率協会
物流に関わる7つの業界団体が主催する、物流関係者のための展示会。隔年で開催され今年が12回目となる。出展者は460社・団体、総小間数は2078。海外からは9カ国から27社・団体が出展。

外から眺めた風景と、中に入って見たものは想像以上に異なる。物流業界の構造と課題を知り、商機を見つけるため、公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(東京都港区)の寺田大泉事務局長に話を聞いた。

寺田 大泉事務局長
物流とは、資材・原材料の仕入れから消費者の廃品回収まで
市場の全体像は門外漢からすると想像よりもはるかに大きい。製造メーカーが仕入れる資材・原材料、卸・小売業者への商品の納品、消費者のもとで役目を果たした後の廃棄など物が移動すれば、すなわち物流の仕事となる。
市場を構成する企業の顔ぶれも、想像と異なる。業界団体に加盟する企業を業種ごとに分類すると、製造業が4分の1を占め最大規模となる。
彼らは荷主企業と呼ばれる。日本の商慣習では、売主が配送料を負担するため、製造メーカーこそ発注元の中心となる。海外では商品代金とは別に輸送費が設定され、売主が負担することはないようだ。
メーカーに続くのが、いわゆる物流業だ。その後に卸・小売りの流通業、輸送機器や設備、関連サービス企業となる。
送り主と受け取り主、2者の接点に商機
物流の仕事は異なる2者をつなぐことだ。問題の多くは移動そのものよりも、荷物が輸送業者に渡るときや、送り先に降ろされるときに発生する。発送元、輸送業者、送り先という3者の事情が絡むからだ。それぞれの要望をかなえるサービスに注目は集まりやすい。
在庫管理・発注・納品を一元管理するシステムや、送り先の自動振り分け設備はその象徴で、IoTの技術導入がめざましいのもこの分野だ。
人手不足が深刻で、省力化・無人化に対する需要は大きい。その一方で、業務の手間はかかるようになるばかりだ。
タワーマンションへの配送も運送業者の悩みの種だ。同じ建物の異なる世帯に配達するときに、階ごとにオートロックが設定されていると、いちいち集合玄関まで戻らなければならない。配送料を上げることもできず、嘆くしかない状況だ。
今後の課題と、海外進出
国内物流市場は数年前から頭打ちの状況にある。ネット通販の拡大に引っ張られ景気が良いように思えるが、実際は、企業間取引の縮小が業界全体の足を引っ張っている。「自動車が売れない」「本が売れない」など、モノが売れなくなっているが、物流業界もそんな社会変化にさらされている。
だからこそ、海外展開を強める。特に各社ともアジア圏への進出意欲は旺盛だ。日本の物流は品質、コストとも高い。欧米系は箱の大きさや、配達時間を選べないといった具合にサービスは画一的だが、料金は安いと言われている。どちらが市場の求めに応えられるか、熾烈(しれつ)な争いが起こっている。
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2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。