会期直前、無観客要請で中止の「日本ホビーショー」補償相談さえままならない関係者の窮状

展示会名:第45回 2021 日本ホビーショー <開催中止>
会期:2021年4月27日(火)~29日(木)
会場:東京ビッグサイト 青海展示棟
主催:日本ホビー協会
出展者数・小間数:200社・500小間
来場者数:3万人(見込)
同時開催:The Quilt 2021

会期3日前、無観客要請で中止された「日本ホビーショー」

 日本ホビー協会(東京都台東区)は、緊急事態宣言によるイベントの無観客開催の要請を受けて、4月27~29日に東京ビッグサイトで開催予定だった「日本ホビーショー」を中止した。会場利用料は返金されるが、開催準備にかかった費用に対する補償は、今のところ話がない。会期直前に要請を受け、中止せざるを得なかった経緯について、荒木武美智専務理事に話を聞いた。


「実質中止要請か」「そうだ」

 東京ビッグサイト(東京都江東区)の担当者から無観客開催の要請を受けたのは、4月24日の深夜0時過ぎだ。来場者がいるイベントには会場を貸せないという説明を受けた。「日本ホビーショー」は来場者がいて成り立つイベントだ。実質中止要請かと聞くと、そうだとの回答を受けた。

 中止を決めたのは同日24日の朝で、その後出展者に連絡し始めた。東京オリンピック・パラリンピックの影響で会場が借りにくいこと、また新型コロナの感染拡大状況から再び同様の状況が想定されることから、延期ではなく中止にすることを決めた。

損害額は少なくとも1億2000万円

 東京ビッグサイトの会場費は全額返金されるが、開催準備に要する発注はほぼ全て終えており、用意していた予算の100%がすでに動いていた。損害額は算出中だが、1億2000万円以上になるだろう(5月7日現在)。出展規約では、「不可抗力による中止の場合は、出展料の総額から準備費用を差し引いた金額を返金する」と記載している。規約通りに対応すれば出展企業への返金額は非常に少なくなる。杓子定規に適用するべきか、判断に困っている。また、来場者向けにはチケットを1500~5000円で販売しており、すでに5000人に返金した。

 出展者、施工会社もすでに費用が発生している。出展者においては、人件費、運送費、施工費など、出展料以外の準備にかかった費用が非常に大きい。地方の出展者からは、会期に合わせて事前にチャーター便で荷物を発送しており、予約した返送日まで保管費用がかかったという話を聞いた。施工会社はレンタル品や装飾を準備し終えていた。

補助金該当条件を確認しても、たらい回し

 中止に伴う補償について、国や都に問い合わせてもたらい回しだ。経済産業省が『J-LODrive補助金』を発表しているが、該当するのかはっきりとわからない。そもそも補助上限額の2500万円では損害額を補いきれない。内閣官房に問い合わせたが、代表電話で対応するだけだった。首相官邸のウェブサイトで意見投稿フォームから文書を送ったが、自動返信メッセージを受け取ることしかできていない。やりとりを拒絶されていると感じる。東京都からも回答を得られない。全体を統括する窓口がない。イベント主催者、出展者に与える損害を想定せず無観客開催を要請したとしか思えない。

 出展者も、施工会社も、ビジネスパートナーとして共に業界を育ててきた仲間だ。誰もが100%請求したいが、痛みを分かち合う動きになっている。大本の主催者をある程度救ってもらわないと、その先にいる人々全てが苦しんで倒れていく。我々がどれだけ補償を得られるか明らかにならないと、出展者への返金額や請求額についても、説得力を持たせられない。

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