デジタル世代に通用するデータの公表とは

職場や学校の人間関係でも、どちらが高価なワインかを見極める二択クイズでも、できることなら多勢につきたい。数的優位は、戦わずして勝つための鉄則、などと言うまでもなく、大勢が選んでいると聞くだけで、とりあえず安心だ。口コミ、フォロワー、友達、行列、少ないよりは多いほうが良さそうな気がする。

だが、勝たなければならない人の考え方は少し違うようだ。ローマを破ったハンニバル、桶狭間で義元を打ち取った信長、歴史には数倍の敵を相手に勝利した逸話がいくらでもある。もちろん、彼らは英雄だが、勝てた理由は「英雄だから」ではない。地形、天候、敵の動き、敵将の性格や人間関係など、緻密な情報で数の劣勢を補い、自軍が優勢に立つ一点を見極めて戦いを始めたことで共通している。

耳触りの良い情報だけを選び、相手の実態に目を向けずに戦いを始めると、とんでもない致命傷を負うことも歴史は教えてくれている。やはり、嫌な話にも耳を傾けておいた方がいいのだ。勝利に必要なのは確かな情報の積み重ねだから。

2018年に日本の展示会にやって来た外国人来場者数について調査した。インバウンドの経済効果における、展示会の貢献度が過小評価されている気がしたからだ。そう思って調査を始めたら、予想通り、来場者数の公表数値に対する不信という問題に突き当たった。

正確な数字を集めた統計は、予想もつかない発見を与えてくれる。ランキングにすると振り向く人が増える。だが、イベントの価値と来場者数が一致するとは思っているわけではない(参拝客数と、ご利益に比例関係などあるわけない!)。展示会で重要なのは「何を求めて、どんな人が、何人来ているか」であって、そんなことは出展企業も主催者も、皆知っている。なのに、肝心な時に限って「来場者が多いものが一番いいに決まってる」という麻薬を悪魔が持ってくる。

昨年、徳島の阿波踊りの来場者数や経済波及効果に関する報道に注目が集まったのは、デジタルメディアで一桁単位の閲覧数を確認する現代からの警告に他ならない。

勝利に必要とされる確かな情報を届けるために、今年も丁寧な取材を続けます。

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