何が起きても忘れてしまう-その浅はかさだけは覚えておこう【365文字の編集長コラム】

 
  • 2018/10/4

 室戸岬に近づく台風が今年最大と評されるのを、どう捉えるべきかわからずに家を出た、週の初めの朝だった。人に会い、飯を食べ、風呂に入って、眠って起きて、合間に少し原稿を書き、今たどり着いた週の終わり、自分においてはほとんど何も変わらなかった、この1週間を振り返り、生まれてこの方一瞬前まで、一度も変わらなかった日常を、突然失う恐怖について、想像をしたふりをして、贖罪のような気分を得ている。想像力を働かせ、相手の気持ちになってみなさい、子供の前では言うものの、今日帰る家がなくなることの不安さえ、心に描くことは難しい。暑さににもだえ、玄関を出た瞬間に汗をぬぐっていた8月は、ずいぶん昔のことのようだ。何が起きても、情報として流してしまう、滝のように流した汗と同じように、ぬぐってそのあと忘れてしまう、この浅はかさくらい覚えておこう。


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎

国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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