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【社長の本棚】憧れの経営者 樋口廣太郎
- 2018/9/2
▲ビヨンド(東京都渋谷区)代表取締役吉澤史朗(51)
憧れの経営者 樋口廣太郎
高杉良『最強の経営者 アサヒビールを再生させた男』
経営者にとって何が大事かを考えていた2年ほど前に、たまたま本屋で手に取った。かつて、「夕日ビール」と揶揄(やゆ)されていたアサヒビールが、スーパードライの大ヒットで、復活するさまを目の当たりした30年前の記憶がよみがえってきた。
主役は住友銀行の副頭取からアサヒビールの社長として送り込まれた樋口廣太郎氏だ。その怒りっぽい性格から「瞬間湯沸かし器」と言われた一方、褒め上手で、社員とのコミュニケーションを巧みに図ることができる人だった。
スピーチがうまく、社長就任時のあいさつでは、「社員の士気高揚が社長の責務であり、できなければ社長の資格がない」と言い切り、初めて会った社員たちの心をつかんだ。仕事の基本をまとめた仕事十則や、組織を活性化するための管理職十則といった部分はコピーをとり、自分の言葉に換えて社員にも聞かせている。
「ビールは鮮度が命だから」と業界の慣例を破って問屋から古いビールを買い取ってしまったり、ライバルメーカーへ自ら乗り込み話を聞きに行くなど、突破型の行動力には憧れてしまう。一方で、本人が認めている通り、就任後にスーパードライの大ヒットが起きる強運の持ち主であったように思う。
5年後の自分に読ませたいと思う。この本によって今後どれだけ自分が成長し、先人の知恵が身についているかを感じてみたいと思った。