真実のように見せる必要さえなくなったのか【365文字の編集長コラム】

 
  • 2018/7/9

 バクダット市民がフセイン像を引き倒す映像を見てから何年か過ぎた頃、倒れる像の横で大勢の報道陣がひな壇でカメラを構え、その周りを軍隊が囲む写真を見た。歴史の一瞬に立ち会ったつもりで見ていたものが、周到に用意されたお芝居だったと知った衝撃は、今も忘れない。正直にいようとする人と、どう見られたいかを意識する人が話をすると、後者の浅はかな意図があぶり出されて滑稽な会話になる。▼日大アメフト部の学生が行った記者会見は、多くの記者が芝居がかった話し方をするので、できの悪いドラマのようだった。東京で台風が近づくとお台場に行き、雪が降ると八王子から中継が始まるテレビの報道は、確かにフィクションに近い。▼演技レベルが落ちたのは、真実のように見せる必要さえなくなったからだろうか。そこで求められているものについて考えると、やるせない気分になる。


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎

国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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