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【365】世の中まったく捨てたもんじゃない
- 2018/6/14
丸々と太ったクラスメートは、毎晩繁華街に出ては夕刊を売り、夕飯替わりのたこ焼きを食べていた。
宮本輝が小学生時代を振り返った短編作品「夕刊とたこ焼き」の風景が、最近はまるで懐かしく思えない。
自宅近くのラーメン店に掛かった「こども食堂、やってます」の看板を見るたびに、思わず短く息を吐く。
連休の終わりに新聞を広げたら、鉄板を前に満面の笑みを浮かべる人の大写しが現れた。
前掛けまでした岸田文雄政調会長の姿からは、違和感以外、何も感じなかった。
首相を目指すなら、もう少しまともな広報をつけたほうがよさそうだ。
夕刊を売る力もあったクラスメートは寂しさなど感じさせなかったが、今なら、夕食に加え、話も聞いてくれる場所があると伝えたい。
為政者と庶民を結ぶ糸は細くなっても、世の中まったく捨てたもんじゃない。
良くなっていることもたくさんあるのだ。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。
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