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香港 日本食ビジネス好調
- 2016/12/20
フードエキスポの日本館 前年比1.5倍
香港の食品や飲食事業に関わる展示会で、日系企業の出展が増えて
いる。香港で行われる食に関する展示会で最大規模の「フードエキスポ」には、今年、154の日系企業と251の団体が出展した。日本の展示エリアであるジャパンパビリオンの出展面積は、前年比1.5倍の1746㎡と過去最大になった。これは、JETROが2016年度にジャパンパビリオンを設置する海外の食品関連展示会の中でも最大だ。
香港は日本にとって農林水産物と食品の最大の輸出先だ。人口で遥かに勝る中国や米国を抑え、11年連続でトップの位置にいる。2015年の年間輸出高は1794億円と過去最高を記録した。2016年も1月から9月までの累積額で前年比3.3%伸びており、今も拡大の最中にある(【表1】参照)。
外食産業だけで見ても、香港の日本食市場は拡大している。香港政府統計局の発表によると、香港で日本食を提供するレストランの数は2015年1290店だった。12年の調査では1160店で、3年で130店増えている。
香港在住15年で日系企業の業界団体に勤める高橋正浩さん(42)は「つけ麺や抹茶スイーツのブームが2、3年前から続いている」と話す。
大手チェーンだけでなく、最近は日本で2、3店舗しか展開していないラーメン店や、一食一人当たり数万円以上する高級料亭の進出が香港で相次いでいるという。
彼らが相手にする客も現地の香港人だ。もちろん、日本人駐在員も訪れるがその中心ではない。かつて、日本食の人気店といえば、日本人が集まる店と決まっていたが、今では香港人しか行かない店でも、日
本と同じ味を出す店が増えているという。
食品・外食産業で日本食市場の拡大が続く理由について、外食産業を中心に香港に進出する日本企業をサポートする香港BSの鴫谷賢二氏は、3つの要因を挙げた。
1つ目は、日本の外食産業が香港に進出して15年以上が経ち、香港住民の舌が日本食に慣れ始めたことだ。50代以上の香港人の中には、刺し身やすしを食べない人が多いという。元々中国では生ものを食べる習慣がなかったからだ。魚だけでなく、野菜でさえ生で食べることはまれだった。40代以下になると、若い頃から日本食に触れているため、生物への抵抗がない人が増えるという。
2つ目は、格安航空会社の登場で日本を訪れる人が増えたことの影響をあげる。2015年、香港から日本を訪れた人は150万人に上った。香港の人口は730万人なので、単純計算で言えば昨年だけで総人口の2割以上が日本を訪れたことになる。自ずと本来の日本食に触れる人が増えたため、日本食レストランの裾野が一層拡大したというわけだ。
3つ目は、日本各地の店を紹介するミシュランガイドの存在だ。ミシュランガイド東京が最初に作られたのは2008年だが、その後、関西や北海道、福岡など、年を追うごとに対象都市が増えている。香港人の間でも日本の飲食店に関する情報が豊富になった。
格安航空券で日本に行き、ミシュランに掲載された店に行く香港人が、日本食市場の拡大を支えている。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。