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【社長の本棚】若き日のモヤモヤを認めてくれた言葉たち
- 2018/7/4
▲エクスプローラーズ ジャパン(東京都港区)代表取締役 豊川隆典(56)
若き日のモヤモヤを認めてくれた言葉たち
学生時代、同人誌に現代詩を寄稿していたことがあり、小説や現代詩を必死に追いかけていた時期にこの本に出会いました。「映像は言語の壁を破壊するか」という論評で、言葉と映像の関係に興味を持ち、いつしか映像製作に強く引かれるようになりました。すぐに、8ミリフィルムを持ち、シナリオセンターに通い始めて、周りにいた演劇仲間たちを撮影するようになりました。
卒業後は、テレビコマーシャルの制作会社に入り修業を積み、その後、映像制作を専門にする当社を設立したのです。この本が、映像制作を仕事にする私の人生を決めたきっかけになりました。
この本に出会う前の自分を思い起こすと、詩作に身を投じたい一方で、自分の中のモヤモヤした感情を言葉にすることができず、苦しんでいたような気がします。言葉にしようとするほどモヤモヤは遠のくのですが、著者の安倍公房はモヤモヤそのものの存在を認めていました。そのうえで映像の可能性を示していたのです。
50年前の本ですが、砂漠に水がしみこむように、今でも感じるものがあります。社会批評、映画論、対話篇など幅広いジャンルについて述べているエッセー集なので、多くの人に読んでもらいたいと思います。私が映像に進むきっかけをつくったように、生きていく指針を決められるような、多くのヒントが詰まっていると思います。
モヤモヤはモヤモヤのまま、残したままでよいのでは、と今でも思わせてくれます。
国際イベントニュース 編集部 後藤 豊
2017年全国賃貸住宅新聞社入社。「国際イベントニュース」企画開発部所属。インバウンド集客に必要な商材、海外に進出する企業向けサービスを中心に情報収集。趣味は読書。自宅に溜め込んだ蔵書は4500冊を越え、かねてから妻との懸案材料となっている。
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