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【社長の本棚】対立する二局をつないだ人たち
- 2018/5/13
▲井之上パブリックリレーションズ(東京都新宿区) 鈴木孝徳社長
この本の舞台となっているのは1950年代。戦後混乱期にあたります。当時は保守と革新、労働者側と使用者側といった対立構図が鮮明で、両局をつなぐ共通基盤がなかったようです。そのような対立関係にある人々の溝を埋める、橋渡し役的存在として著者のエントウィッスル氏らが活動し、立場を超えた信頼関係を生み出していくエピソードが数多く紹介されています。歴史の表舞台には出ないものの、今に至る日本の針路を決めた各界の先人たちの国際的な活動の交流記です。戦後日本の奇跡的な復興と高成長の原動力となった、民主的な労使協調路線をめぐる当時の動きを、興味深く読みました。
訳者である参議院議員の藤田幸久氏が主催する勉強会に参加した時に、この本を知りました。藤田氏は国難に対して、党派を超えて取り組んだ指導者たちの実像を伝えたいと思ったそうです。PRの仕事をする上で、「倫理観」「双方向性コミュニケーション」「自己修正機能」の3つを意識しているのですが、本の内容と共通する部分が多いと感じています。
現代の日本では、東日本大震災や福島の原発事故により、長い間、信仰されてきた科学技術主導の価値観が大きく変化しました。加えて、インターネットやソーシャルメディアの普及により、これまで人類が経験したことがなかったようなスピードで情報環境が変化しています。
政治に目を向けると世界各国でポピュリズムが台頭し、日本においては中国、北朝鮮、ロシアとの関係は混とんとしています。このような時代を生きるわれわれにとって、かつて大きな社会の溝を埋めるために、奔走した先人の仕事を知る貴重な1冊だと感じています。
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国際イベントニュース 編集部 後藤 豊
2017年全国賃貸住宅新聞社入社。「国際イベントニュース」企画開発部所属。インバウンド集客に必要な商材、海外に進出する企業向けサービスを中心に情報収集。趣味は読書。自宅に溜め込んだ蔵書は4500冊を越え、かねてから妻との懸案材料となっている。
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