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伝統工芸、海外に商機
- 2017/11/10
- 伝統・文化・芸術
▲エニシングの小倉佐恵氏 和風テイストなデザインが海外に好評だという
伝統工芸、海外に商機
前掛け専門店エニシング
かつては米屋や酒屋のトレードマークとなっていた〝前掛け〟が、海外で人気を集めている。今年5月、ロンドンの大英博物館に出展を開始したのは、前掛け専門店のエニシング(東京都小金井市)だ。和柄で古風なデザインが特徴的で、観光客の土産品として上々の売れ行きを見せているという。
メーン商品は通常より太い糸を織り込んで作る「1号前掛け」だ。丈夫で、伸縮性が高く、柔らかな手触りが特徴。
昭和30~40年代までは業界の主流だったが、糸の太さから織り機に引っ掛かることが多く、生産効率は高くない。今では前掛けの販売数自体が落ち込んできたため、現存する生産工場も数少なくなった。かつては前掛け工場が多数あったという愛知県豊橋市には、同社の製品を製造する工場を残し、ほとんどが無くなったという。
価格は1枚5900円から。オリジナルデザインの受注にも対応し、販売層を広げている。同社の小倉佐恵氏は「ビール会社や酒屋、居酒屋などがメーン顧客だが、一方で個人客への販売も好調だ。アニメキャラクターとのコラボ商品なども展開しており、ギフト用に購入する方も多い」と語る。 海外展開も好調のようだ。
2009年のニューヨークで出展したのをきっかけに、日本国総領事館や紀伊国屋ギャラリーなど毎年出展を続けている。小倉氏は「企業のPR用グッズとして製造を受けるケースも増えている。本来の業者向けニーズだけではなく、さまざまな企業とコラボし、伝統技術を再び広めていきたい」と語る。
国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。