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増加する日本車メーカー メキシコセミナール第2回
- 2017/4/18
- メキシコセミナール
5年で2倍強に増えた進出企業
近年、メキシコでも自動車メーカーを中心とした日系企業の進出が増えている。タイで大洪水が起きた2011年は464社だったが、2016年12月には1051社がメキシコに進出をしている。アジアを除くと、1000社以上の日系企業が進出をしているのはアメリカ、イギリス、ドイツに次いでメキシコは4番目にあたる。
製造業だけを見ると、メキシコには日系企業を含む562社が進出を果たしている。日産をはじめ、マツダ、トヨタ、ホンダなどが生産拠点を構えており、ビッグスリーなどの米系メーカー3社やヴォルクスワーゲンなどドイツ系の完成車メーカーも生産拠点を設立している。
日系企業が集まるのは、バヒオ地区と呼ばれるメキシコ中央高原地帯だ。メキシコシティ、モンテレイ、グアダラハラとういう3大都市を結んだ三角形のちょうど真ん中に位置する。国道沿いに完成車メーカーが工場を構え、その近くに多くの自動車部品メーカーが進出する。
バヒオ地区に自動車関連メーカーが集中していることで、それまで取引のなかったメーカーとの取引がメキシコ進出をきっかけに始まったとの話もある。また、NAFTAを通じて、アメリカ市場へのアクセスも容易であり、ヨーロッパ、南米へ輸出する生産拠点のハブとしても注目されている。
課題は部品メーカーの不足だ。自動車メーカーの進出が多いタイと比べると、完成車メーカーの進出社数はほぼ同じだが、ティア2・ティア3といった中小企業の進出が少ない。そのため、部品や機械を輸入に頼らざるをえない。今後はメンテナンスも含め、機械や部品、サービス業など周辺企業が進出することで、東南アジアのサプライチェーンのようなネットワークができることに期待がされる。
人材育成も急務だ。現地従業員の指導経験者を派遣するJICA(国際協力機構)の支援プロジェクトや、メガバンクやJBIC(国際協力銀行)とメキシコ州政府のMOU(業務協力覚書)といった連携が深まりつつある。毎年、メキシコの各州知事も来日し、メキシコ進出を検討する企業や、すでに進出をしている企業を訪問し意見交換を継続的に行っている。
メキシコのモンテレイ工科大学在学中の1998年、上智大学比較文化学部の交換留学生として来日。7年間日本の企業や政府機関に勤務。2006年、The Berlin School of Economics(独)にて経営学修士(MBA)を取得。07年1月から現職。