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毎年1本新しい展示会をつくる
▲1974年12月、香川県出身。97年明治大学卒業後、展示会主催会社に入社。同業数社を経験後、2011年4月 TSO Internationalを設立。代表取締役に就任。スポーツ専門展「スポルテック」などを毎年開催。趣味はスポーツ全般。
19年からはアジアに進出
今月、7期目に入ったTSOインターナショナル(東京都新宿区)は、毎年展示会を増やし拡大を続ける。佐々木剛社長はオリンピックや展示会場の供給不足を見据え、2019年以降は海外進出を見据え、すでに準備に入っている。目指す市場はアジアだ。
―「スポルテック」、「エンディング産業展」など、珍しい展示会の主催が目立つが、どんな基準ではじめるのか。
毎年、1本新しい展示会を必ず作るとを決めている。今年であれば大阪のエンディング産業展だ。マーケティングは徹底するが、始めるときは「エイヤッ」と勢いで突っ込む。今一番伸びているのは「カフェ・喫茶ショー」だ。前年に比べ100社程出展社が増え、区画は完売した。可能な限り今の拡大路線を継続したいと考えている。そのためには会社の信用を高めなければならず、上場を目指そうと以前から社員にも話している。
―今、注目している市場はどこか
そのものズバリは企業秘密で言えないが、長く続く業界にはチャンスが眠っていると感じている。現時点で市場として一定の規模がありながら、人口減少のあおりを受けたり、昔ながらのセールス手法を続けているため、既に右肩下がりとなっている業界に、生き残りをかけて働く人たちがいる。彼らに解決の糸口や出会いの場を供給していくことが展示会産業の使命ではないだろうか。
エンディング産業展で、寺院や神社の経営改善をテーマにしたのは最たる例だ。これまでは右肩上がりの市場を狙って展示会を作ることが王道だったが、やり尽くした感は否めない。そこだけでは主催者会社としての成長にも限界があるだろう。
―展示会場の稼働率は飽和状態にあり、展示会を増やすのも限界があるのではないか。
オリンピック、パラリンピック期間の問題を含め、展示会場の供給不足は頭の痛い問題だ。ビッグサイトが現場のまま継続して利用できれば一番良いが、我々にとって良い結果が得られるとは限らない。創業当時から主催会社として海外進出することも掲げてきたが、19年に向けて準備しているのは、もちろんオリンピックと無関係ではない。
―海外での勝負の仕方はどうなるのか。
主催会社として、現地で出展企業とバイヤーを集める。日本の企業を連れていくことを想定しているものではない。主戦場はアジアだ。アジアしかないと言ってもいい。国によって戦い方は異なるが、現地の企業と組みながら現地法人を設立する方法が一番考えやすい。
―欧米に出ていくという考え方はないのか。
残念ながら、実力差がありすぎる。欧米の展示会は日本に比べて質が高い。展示会を商談の場として組み込んでいる出展者側の意識によるところもあるが、基本的には主催者の実力差だと思っている。日中の展示会から、夜のレセプションまで商談が生まれやすい仕掛けが徹底されている。アジアに比べて日本の展示会が勝っているとも思っていない。欧米の主催会社が進出しており、我々はそこで戦っていくことになる。
―海外の前に、国内の地方展開は考えないのか。
展示会の開催が可能な会場があれば検討する。とはいえ、大阪、名古屋、福岡くらいまでではないだろうか。日本の場合、東京まで地方都市から簡単に移動ができる。アメリカや欧州とはそこが一番異なる部分だ。
―国内でコンベンションなどの周辺事業に手を伸ばすことは考えないのか。
考えていない。培ってきたものがなく、ゼロから学ばなければならない上に、それぞれの分野に非常に強い先人がいる。それよりは、ノウハウが横展開できる海外の方が勝負のしがいがある。超えなければならない課題は言葉と文化と宗教の違いだけだ。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。