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広い国土が醸成した大国意識 ロシア ~近くて、遠い国~(第3回)
- 2017/3/16
- ロシア
地域間格差は埋め難い
世界最大の面積(約1707K㎡)を誇るロシアは80以上の構成主体から成る連邦国家だ。2014年3月に隣国ウクライナに属するクリミア半島を併合してから、ロシアの憲法規定上は22共和国、46州、9地方、3特別市、1自治州、4自治管区という、総勢85の構成主体で構成されるようになった。イノプロムが開催されるエカテリンブルク市は、スヴェルドロフスク州の州都だ。
国土は地球の陸地面積の約8分の1、日本の45倍の大きさに及ぶ。広大な国土はロシア人の国民性やメンタリティに大きな影響を及ぼしていると言われる。米ソが二大大国として君臨していた冷戦期はもちろん、ソ連崩壊後の経済・社会の混乱時期を経た今もなお、ロシア国民にとってロシアは「超大国」であり、広大な国土には巨大なポテンシャルが秘められているという意識が根強い。
一方で、その広さゆえに、地域や構成主体ごとの格差が大きく、一言で「ロシア」や「ロシア人」を説明することは難しい。例えば、一般的に「寒い」イメージのロシアだが、2014年にオリンピックが開催された南部のソチやその周辺は、ヤシの木も生える亜熱帯地域である。冬季オリンピック開催に際して雪が不足したというのは有名な話だ。また、石油や天然ガスが豊富な国だが、その産地はヴォルガ川の沿岸や西シベリアと呼ばれる地域に集中しており、資源が全く採れない地域も少なくない。
人口分布も偏りが激しい。総人口約1億4000万人強のうち、約10分の1が最も面積の小さな構成主体であるモスクワ市に集中している。一方、広大な面積を誇る極東や極北などの辺境地域は人口密度が低く、産業の発展も大幅に遅れている。
民族分布では、ロシア正教を信仰するスラヴ系ロシア人が80%以上を占める。2番目はテュルク系でイスラム教を信仰するタタール人だ。国全体で約200の民族が確認されている。一部の共和国ではロシア人以外の民族が多数派を占めるケースもある。ロシアの経済や社会を知る上では、こうした多様性を押さえることが重要だ。