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山の神に祈る場所
- 2017/2/8
小田原で150年続く「鈴廣蒲鉾本店」に直結する箱根登山鉄道風祭駅は、毎年正月2日と3日の朝に、たくさんの人でごった返す。年初の風物詩となった箱根駅伝で、山の出入り口となる小田原中継所が設置されるからだ。
ランナーはあっという間に遠くへ過ぎ去っていく。集まった人たちはその一瞬に合わせて精一杯の声を出す。大学や選手に縁がなくても関係ない。正月早々、死に物狂いの姿を見せる山の神たちに、年初の誓いを託すのだ。
最後の選手が通り過ぎると、ひとだかりはそのまま電車のホームに移動する。誓いを胸にそれぞれの持ち場に帰る人たちは、初詣を終えて帰宅する人の姿とよく似ていた。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。