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人のふり見て我がふりを顧みる【365文字の編集長コラム】
- 2019/10/20

みこしの担ぎ手たちの怒鳴り合いが、胸ぐらをつかむ喧嘩に発展した現場に居合わせたのは、長く続いた今年の梅雨が始まったころだ。野次馬を含む100人前後の集団が左右に振られるたび、外側にいる数人が引きずり倒された。近くに待機していた警官が、特に頭に血が上った数人を取り押さえて、その場を収めるまでに10分ほどかかった▲酒に酔った者同士のたわむれだ。デッドボールをきっかけに始まるプロ野球チームの乱闘や、強行採決に憤る与野党議員の立ち回りほどの大義もない▲拳を振り上げ戦う集団を目の前で見た記憶を掘り返してみたものの、その程度のことしか思い浮かばなかった。それでも「同じ土俵に乗らないように」「大きな声を出した方が負け」と怒りをコントロール下に置く技術に、さらに磨きをかけようとしている。各地で憤る市民とは、ずいぶん違った空気の中で生きている。
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2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。