ブティックス 新村祐三社長に聞く 中国合弁会社設立について「狙いは介護商材の販路拡大」

ブティックス(東京都品川区)新村祐三社長(51)

介護業界の展示会「ケアテックス」を主催するブティックス(東京都品川区)が、中国で介護関連商材を販売するための合弁会社を現地企業と設立する。日本の介護商材を中国国内でウェブと実店舗で販売するほかに、日本メーカーと設計した商品を現地でOEM生産し、独自ブランドとして展開することも計画する。一方で、ケアテックスを中国で開催するような展示会の輸出については、短期的には考えていないようだ。8月の第1四半期の決算内容と併せ、新村祐三社長に話を聞いた。

【この人】中国で合弁会社設立 介護商材の販路拡大

―新会社に出資する現地企業はどのような会社か。

当社と中国企業2社での設立となる。1つは一方集団のグループ会社である万芳科技有限公司。一方集団は介護・医療施設を運営しており、各施設へ介護商材の供給を目指す。また、中国で「万逹広場」というショッピングモールを展開する万逹集団と資本提携していることから、この店舗での販売も予定する。もう1つの叶同仁国際貿易有限公司は、漢方薬をメーンにするドラッグストアを運営する企業の子会社だ。eコマースの実績もあることから、店舗とウェブで介護商材を販売する。出資比率は万芳が40%、当社が25%、叶同仁が15%だ。

―「ケアテックス」を中国で開催する計画はあるのか。

日本でうまくいった展示会を、海外に持っていくだけでうまくいくとは思えない。国によって異なる商習慣や文化の違いは、展示会の成り立ちを根本から変える。海外での展示会開催も視野に入れているが、開催する場合には、国情も調査した上で徹底的な準備が必要と考えている。

―中国に進出する目的は何か。

ケアテックスに出展する介護商材メーカーの販路を世界に広げることだ。中国の60歳以上の人口はすでに2億3000万人を超えており、2050年には4億8000万人になると予想されている。この市場を取りに行く。また、中国には技術力のある工場が多数あることから、日本のメーカーと協力し中国市場に合わせた商品を開発し、OEM生産し販売する事業も行っていきたい。

―8月に発表した第1四半期決算は、売り上げ1億8400万円に対して、営業利益がマイナス1億3400万円と、かなり厳しい内容に見える。

当社は展示会の売り上げが計上される第4四半期に売り上げが偏る。四半期報告書などにも注記しているが、投資家からもよく聞かれるので、説明に努めたい。

―介護用品を販売するeコマース事業は、季節変動がそれほどないと考えられるが、こちらも1億5300万円の売り上げに対して713万円の赤字となっている。

前年末に検索エンジンのアルゴリズム変更が行われ、広告コストを押し上げたために第1四半期は赤字となった。だが、eコマース事業に関しては、広告費の高騰や価格競争が厳しく無理な拡大は考えていない。展示会出展企業の販売支援という側面もあるため、このままの規模を維持し、コストコントロールに努めトントンにできればいい。

―ここまで、展示会でも、eコマースでも、介護業界にほぼ特化してきた。だが、eコマースのように介護市場だけでの事業拡大はいずれ限界がくるのではないか。

介護業界は中小企業事業者が多い。当社のようなマッチングビジネスは寡占化が進んでいない市場ほど、活躍の機会が多くなる。展示会を通じたくさんの取引先とつながることで、さまざまな相談をいただけるようになった。それが、M&A仲介などの新しい事業を生んでいる。今回の中国進出もしかりで、やるべきことはまだたくさんある。だが、新たな市場での横展開は当然視野に入れている。短期的には介護の隣接領域である、健康、医療分野が候補になると思う。

―今月、古巣のリードエグジビションジャパンが東京で「医療と介護の総合展」を初開催する。どう対応するか。

介護・医療業界では、他にも類似の展示会がいくつもあり、その中でどのような展開をしていくのか、個人的には興味を持っている。ただ当社としては特段意識していない。これまでも「マッチング・ファースト」を理念にさまざまな努力を行い、展示会の価値を高めてきた。他社がどうというよりも、当社のやり方で、ひたすら価値を高めることに注力していきたい。

ブティックス(東京都品川区)
新村祐三社長(51)
1966年、大阪市出身。早稲田大学卒業後、リードエグジビションジャパンに入社。2004年に取締役就任。06年ブティックスを設立し社長就任。介護用品のインターネット通販事業で拡大。15年、介護業界の展示会「ケアテックス」を開催。18年3月、マザーズ上場。


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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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