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▲クジラ株式会社 矢野浩一社長
~SEKAI HOTEL~街ごとホテル 地域の店舗と提携 経済効果を生む
地元の「当たり前」を提供する
SEKAI HOTELでは、観光客が非日常に暮らす体験を促す仕組みとして「SEKAIパス」を発行しています。現在、ホテルのフロントから徒歩3分圏内の5店舗と提携しており、宿泊客はたこ焼き店、モーニングが食べられる喫茶店2店舗、銭湯などが無料で利用できます。最近はバーとも提携をしたので、夜遊びでも使えます。現在は試験中なので無料で配布していますが、今後は提携店舗を増やし、有料に変更しようと思っています。
こうした日常を新たな価値として売り出すことで、地域への経済効果として期待ができます。今年の5月までに月間平均240人がSEKAIパスを利用しました。ひと月の宿泊客が800人前後なので、宿泊客のおよそ3分の1がSEKAIパスを利用した計算になります。
宿泊客がSEKAIパスを利用することで我々が提携店に支払う金額は、現状で月間14万8000円、年間で170万円超です。つまり、これがSEKAIパスをきっかけに生まれる地域への経済効果といえます。今後、客室が増えて宿泊人数が増えれば、SEKAIパスを利用する人が増えて、地域への経済効果ももっと増えていくと思います。
空き家再生の意義
我々が西九条にホテルを開業し、日経新聞に掲載されて以降、近隣にホテル、ホステルの建設が進んでいます。飲食店も増えました。地域が活性化したことで、さらに経済効果があると思っています。
既存の資産の活用という意味でも意義はあります。SEKAI HOTEL西九条の客室にしたある長屋は、前の所有者が固定資産税を滞納していました。それを我々が市から購入してリノベーションし、客室として運用することで、不動産投資物件として成り立っています。
最近は、大阪での長屋のリノベーション依頼を受けることが多くなりました。長屋は、工事が始まってみないと柱の状態やシロアリの被害、傾きの状態がわからず、リスクが大きいため、依頼はあっても受ける会社は少ないと思います。民泊や旅館業者からしても、調査しづらく、客室にするまでに時間と費用がかかります。その点、我々は自社ですべての過程をまかなえるため、こうした物件を再生することが可能なのです。
現在のペースで進んでいけば、2022年までに、西九条地域で30軒の空き家を再生できるのではないかと見込んでいます。この夏は、東大阪の布施地域でSEKAI HOTELの第二弾が開業します。ここでは20軒の空き家の改築を予定しています。
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