横浜港運協会 大規模展示会場私案を発表

 
  • 2018/8/21
▲横浜港運協会の藤木幸夫会長(写真右)は、横浜港で港湾荷役、倉庫業などを行う藤木企業(横浜市)の会長。横浜エフエム放送の社長も務める地元経済界の有力者だ。講演会には日本展示会協会(東京都千代田区)の石積忠夫会長(左)を招いた

できるか、山下ふ頭に展示場

横浜港を使用する倉庫業、運送業など240社が加盟する横浜港運協会(横浜市)が、山下ふ頭に25万平方メートルの大規模展示会場を、2026年までに民設民営でつくる私案を発表した。計画は18日に開催した協会の拡大理事会・公開講演会で発表されたものだ。横浜経済界の重鎮である藤木幸夫会長は、地元選出の代議士や地元経済界関係者など会場に集まった700人に対して、展示会場がもたらす横浜への経済効果を強く主張した。同時に、山下ふ頭にIR施設を誘致する動きに対して「カジノはいらない」とけん制した。

横浜港運協会の藤木氏「カジノはいらない」

 講演会でもっとも時間が割かれたのは、カジノ無しでも収益化できる大規模展示場の経営についてだ。政府や専門家らのIR施設に関わる議論において、展示場や会議場などの大規模MICE施設を単独で収益化させることの難しさが、カジノを必要とする根拠となっているからだ。これに対し、協会の水上裕之常務理事は日本最大の展示会場である東京ビッグサイトが世界で77番目の広さしかなく、稼働率が高いために新たな展示会をつくることができない現状を説明し、世界で10番以内の広さとなる25万平メートルの展示会場の需要が十分見込めるとした。

 山下ふ頭では大型重量物の荷揚げ荷降ろしが可能だ。これにより、船から運んだ鉄道車両や大型重機をそのまま並べる展示会の開催も可能だという。また、関税の徴収を保留したまま保管できる保税地域であるため、展示会場の中だけで行われる取引は非課税のまま行える強みがあるとした。

 講演会には、日本展示会協会の石積忠夫会長を講師として招き、展示業界が大規模展示会場を求める実情について説明を受けた。石積会長は2月に東京ビッグサイトで開催された「新エネルギー展」で73カ国から8103人の外国人が来場したことを例に、金銭的に余裕のある訪日外国人を増やす手段として大規模展示会が有効だと説明した。

 講演会は、国会がIR実施法案の採決を行おうとするタイミングで行われた(その後20日に通過)。聴講者の一人が、林文子市長が誘致に手をあげる可能性を尋ねると、藤木会長が「そんなことは絶対しないはずだ」と答える一幕があった。開催そのものに、IR誘致に積極姿勢を打ち出す一部の横浜経済界や、態度を保留する林市長をけん制する意図もあったようだ。

IR法成立誘致競争へ

 横浜商工会議所の川本守彦副会頭は、17日に行った定例記者会見で横浜へのIR誘致を求める会議所の立場を強調した。また、林市長に対して、IRに関する政府の基本方針が公表される1年以内に、態度を明確にするよう要望した。

 一方、18日に定例記者会見を行った林市長は「法案が成立しても姿勢は変わらない」として、IR誘致の是非に対して態度を決める段階にないことを強調した。港運協会の展示会計画に対しては「一つの意見、考え方と受けとめている」と回答した。

 法案が成立した20日、これまで誘致に積極姿勢を示している大阪府の松井一郎知事、和歌山県の仁坂吉伸知事、佐世保市の朝長則男市長が、改めて誘致に対して前向きな発言を述べた。実施法はIR施設の設置を最大3カ所としていることから、北海道・苫小牧市なども含めた招致合戦がここから本格化することになる。


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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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