▲外国人向けの医療に力を注ぐ東京高輪病院

検診や治療を受けるため、海外から日本にやってくる医療インバウンドが拡大している。富裕層が拡大する中国を中心とするアジア各国で、日本の医療機関に対する信用が高いことが要因だが、日本の一部の病院も利用者獲得のために営業を強化している。そこには、収益の確保に苦労する病院経営の実態がある。(関連記事=16面)

公立病院 6割赤字

「医療ツーリズム利用者は自費診療のため利益率が高い。インバウンドを含む外国人患者の受け入れ対応を当院の成長の柱に育てたい」と話すのは、東京高輪病院国際部の島津忠司氏だ。人口減少で先細りする国内の需要を補う新しい柱として医療ツーリズムに注目し、体制を整えてきた。

2014年に独立行政法人化された東京高輪病院は、黒字経営が求められている。それ以前も黒字ではあったが、公的医療機関として不採算に陥りやすい医療サービスを提供してきた。国際部が設立されたのは2015年で、それにより収益性は高まった。

公立病院 6割赤字

聖路加国際病院(東京都中央区)
原茂順一マネージャー

東京高輪病院に限らず、日本の医療機関の経営は厳しい。総務省が昨年12月にまとめた「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」の報告書によると、独立行政法人を含めた公立病院の6割が赤字経営だ。

「保険診療だけで病院が利益を確保することは難しい」と話すのは聖路加国際病院(東京都中央区)で、医療インバウンドを担当する、患者サービス課国際係の原茂順一マネージャーだ。医療機関の報酬は、すべての医療行為に対して国が定めた点数をもとにする。保険診療の場合は1点10円で計算され、保険と個人からそれぞれ負担分が支払われる。

自由診療の場合は1点当たりの金額を、文字通り自由に設定できる。東京高輪病院は25円、聖路加国際病院は5月から30円に値上げする。同じ医療を提供する場合でも外国人は自由診療となるため、病院の収益性は高くなる。「保険診療による報酬は原価という感覚」(原茂氏)

東京高輪病院は、医療を目的とせず日本に訪れた外国人に対する医療にも注力する。隣接する品川区や港区のホテルを訪問し、外国語の対応が整うことを伝えるとともに、ウェブサイトでも周知を徹底する。旅行者の増加とともに増加する急病人を積極的に受け入れる体制は、収益性を高める取り組みの一環でもある。

利用者が増える中、検索サイトで「English Speaking Doctor」などのキーワードで検索すると、上位に表示されるようになってきた。今では毎日15~20件ほどメールが届くという。


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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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