▲日本最大の工作機械展「JIMTOF」。大型機械を展示する企業も多い

やはり越えられない「言語の壁」

人材の豊富な大手企業ならば英語が通じるだけでも出展のハードルは低いだろうが、中小企業となるとそうもいかない。中小企業の海外展示会進出を支援する日本貿易振興機構(ジェトロ)の佐藤氏はこう語る。「展示会の当日は通訳を雇うから、社員に外国語を話せる人材がいなくても問題ない。だが、展示会ではじまった商談は数カ月にわたって続くことも少なくない。そうなると、社内に外国語を話せる者がいないと、せっかく生まれた商談がストップしてしまう。そのため、海外の展示会に出展する際には現地の言語に対応する体制をしっかりつくっておかないと、高い費用をかけた出展が無駄になる」

海外ならではの落とし穴はほかにもある。

インドネシアのジャカルタで開催される機械分野の総合展「マニュファクチュアリング・インドネシア」への出展を支援するジェトロの濱野氏は「会が終わったあとの搬出に苦しむ企業を多々見てきた」と語る。「日本国際工作機械見本市(JIMTOF)」などの日本で開催される機械展を見てもわかるように、こうした展示会に出展する企業は現物の大型機械をブース内で展示する。勝手知ったる国内の運送業者であれば会期後に速やかに対応もしてくれるが、慣れない海外業者となるとそうもいかない。

「大型の機械の搬出は手続きが手間取ることが多く、深夜や翌日までかかってしまうことも珍しくない。多くの出展者は会期の終了日の夜のフライトを取っているので、大慌てで対応することになる」と濱野氏は語る。出品する商品の値段に詳しくても、輸送コストや関税に疎い営業マンも多い。

展示会は経営者や決裁権者の来場も多く、ブースの中で具体的な値引き交渉を行う姿も珍しくない。だが、相手が海外となると輸送費や関税など日本国内の取引では発生しない雑費を含めて話をしなければならず、入念な準備なく展示会に参加した出展者の中にはこうした「海外対応」ができない者も少なくない。

「よくあるのが、中小企業の社長が一存で海外展示会への出展を決めるパターン。実際に会場で営業するスタッフの下調べや準備が足らず、せっかく来場者がブースを訪れても満足な営業ができず、成果につながらない。ジェトロでは海外出展の前に現地の専門家を呼んで市場の解説やブース作りのコツなどを紹介するが、まずは社内で海外での営業体制を構築することが重要」と濱野氏は語る。


p1050331 国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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