▲幕張メッセは「東京ゲームショウ」など大規模展示会の開催も多い

2020東京五輪・パラリンピックの開催を3年後に控える中、会場となる展示施設では混乱が続いている。日本最大級の展示面積を有し、展示会や音楽ライブで年間2000ホール以上が使用される幕張メッセ(千葉市)では大会による使用期間を巡る調整が今なお続いており、毎年イベントを開催している主催者から不安の声があがっている。

「五輪で会場が使えない」 展示施設と主催者の苦悩は続く…

「開催まで、あと1000日」。10月28日、東京都中央区の日本橋では大会開催1000日前の節目としてカウントダウンイベントが開かれた。オープニングセレモニーではゲストの市川海老蔵さんが登場。日本橋連合町会が山車を担ぐほか、今大会で初採用となった種目「BMXフリースタイル」のアスリートによるデモンストレーションなどが開かれた。

その一方、華やかな式典の陰で運営上の課題に追われる人々もいる。

「もうリミットは過ぎている。一刻も早く決めなければ、主催者の不安を消すことができない」。そう語るのは、幕張メッセの鎗田氏だ。オリンピックではフェンシング、テコンドー、レスリングの3競技、パラリンピックではゴールボール、シッティングバレーボール、テコンドー、車いすフェンシングの4競技の会場となる予定だが、使用期間を巡って今も調整が続いている。

「千葉県としては従来使用していただいている主催者に迷惑がかからないよう、1日でも、1ホールでも少なくなるように調整をお願いしている。それでも、まだ最終的な結論に至っていない」

幕張メッセの使用期間を巡っては、今年4月に大会の組織委員会から2020年4~9月の6カ月間と打診があった。これに対し千葉県の森田健作知事は「6カ月間は長すぎる。期間短縮を組織委と交渉したい」と調整を打診していた。だが、半年たっても事態は進展していない。

大会の開催期間はオリンピックが20年7月24日~8月9日、パラリンピックが8月25日~9月6日だ。組織委が提示した期間によると、会期前3カ月から会期後1カ月にわたって借りる計画となる。だが、「幕張メッセでは大規模な展示会や音楽ライブが頻繁におこなわれており、経験から準備期間がどの程度必要となるかを試算すると、やはり長すぎると感じる。オリンピックという国家イベントだとしても、撤去期間は1カ月もいらないのでは」と鎗田氏は語る。

さいたまアリーナ、1年以上進展なし

やきもきするのは埼玉県も同じのようだ。さいたま市にあるスポーツ・イベント会場の「さいたまスーパーアリーナ」は、オリンピックのバスケットボールの会場として使用される。大会の日程は7月25日~8月9日の16日間を予定している。ただ、使用期間はまだ決まっていない。

埼玉県は「もともと都外の会場の使用期間は一律で11カ月とされていた。その後、会場ごとに調整するということになり、埼玉県としては昨年9月に『8週間に短縮してほしい』とお願いした。もう1年以上たったが、まだ決着していない」と語る。

交渉が長引く背後には、オリンピック・パラリンピックを主催する国際オリンピック委員会(IOC)の存在があるようだ。IOCは大会を運営する非営利団体で、放映権とスポンサー収入によって成り立っている。運営にあたっては開催都市と連携して会場の整備から競技の運営にあたることになっており、開催国であっても大会の運営に関する物事はIOCの了承を得なければ決定することはできないという。

▲2017年4~9月に開催された展示会(一部)

鎗田氏は「組織委とは会場の運営について頻繁に面会し、使用期間についても再三交渉しているが、まだ時間はかかりそう」と語る。一方、組織委は使用期間の調整について「(大会の)基本設計や各専門部署の運営計画などの詳細が固まっていない現時点では、提示している以上の使用期間短縮について明確に回答することは困難。来年末までに工事期間や内容が判明する見込みなので、今後も継続して調整していく」とコメントしている。

同様に、展示会場として高い稼働率を維持する東京ビッグサイトでは9月に、20年5月1~5日を一般のイベント開催に使用できることが決まった。東京都の伏見充明課長は「調整が続けば大会による使用期間が短縮される可能性もあるかもしれないが、今のところこれ以上の短縮はないと考えている」と話している。

一般に「会期の3年前に事業計画を立てる」と言われるイベント業だが、大会会期まで1000日を切った。計画が見通せぬ状況が続く中、主催者の苦悩は絶えない。イベント主催関係者は「会期のど真ん中のイベントは会場変更せざるを得ないから、諦めがつく。けど、9月後半に開催している主催者なんかは大変ですよ。本音を言えば会場を移したくなんかないし、かといって早く決めないことには出展者の不安が募るだけ」と語る。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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