賃貸市場で熾烈な戦い

関西の不動産市場で、東京電力と関西電力が熾烈な契約獲得競争を繰り広げている。関西圏の家主、地主、不動産関係者が集まる「賃貸住宅フェア大阪」には両社が揃い踏み、賃貸マンションやビルを所有する不動産オーナーに対して契約の切り替えを威勢良く提案する担当者の声が響いた。

関西という敵地に乗り込んでいった東京電力は、低価格で提供できる共用部分の料金体系を前面に打ち出した。設置したパネルには小さな文字ながらも「関電より安い」という一言が添えられ、同社らしからぬ積極的な営業スタイルに、「一生懸命さが伝わり、面白い」と来場者にも好評だった。

受けて立つ形となった関西電力の担当者は、東電ブースに書かれた一言に早々に気がついたが、「共用部分の料金に関しては、その通り」と相手の勢いを認めざるを得なかった様子だ。

東日本大震災以降、目立った営業行為をほとんどしてこなかった電力各社だが、その間に彼らをめぐる市場構造はこれまでとは異なるものになった。発電・送電・売電の3体制への分割、電力小売りの自由化による異業種からの大量参入、ガス小売りの自由化が相次いで実行されたからだ。

電力会社の中でも、既存顧客に対する競合他社からの争奪が集中した東京電力は、営業自粛せざるを得ない状況で、これまで攻め込まれる一方だった。その東電が、敵地に足を踏み込み、最大手らしからぬ営業を始めたことは、業界関係者にとって、大きな衝撃だったようだ。会場に来ていた大手ガス会社の責任者も「早々に準備に入る」と気を引き締めていた。

電力、ガス、あるいは携帯キャリアなども巻き込んだエネルギー契約獲得戦争が、賃貸市場で激化することになりそうだ。


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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